Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

台湾でシュウマイ販売

崎陽軒が台湾で試験販売

2018年8月23日の日経で、崎陽軒が台湾でシュウマイ弁当を試験販売したという記事がありました。

www.nikkei.com

  • 台北の食品展示会で販売
  • サンプル配布とアンケート。最終日に100個販売
  • 駅弁文化の発信と、インバウンドへのアピールが狙い
  • 台湾には駅弁文化があり、まず台湾
  • 本場の焼売と同社のものは異なる。副菜も日本風。差別化可能
  • 次回は、台北市の百貨店への催事で販売
  • 他のアジア地域でも検討

コメント

非常に面白い取り組みだと思いました。味千(ラーメン店)や、大戸屋サイゼリアが海外でも上手くいっているということは聞いたことがありますが、日本のシュウマイが本場の台湾で売れるというのは驚きです。

 

崎陽軒は横浜を代表する企業の一つで、横浜では非常に有名です。シュウマイやシュウマイ弁当は、横浜の主要駅には、だいたい販売コーナーがあり、食べたいと思えば、簡単に入手可能です。新幹線の新横浜から大阪に行くときは、良く買います。

ただ、横浜(神奈川)を離れると、買うことが困難になり、知名度も一挙に下がります。地域性の高い商品です。

 

記事では、同社の社長が、駅弁文化の発信と、インバンド客へのアピールと言っていますが、今回の取り組みは、日本の顧客へのアピール効果も高いように思います。

焼売のメッカである台湾で、美味しいと認められたシュウマイということになると、崎陽軒のブランドに伝説が一つ追加されます。

それをマスコミなどを使って、上手に広報できれば、日本での広告宣伝効果は抜群です。台湾での試験販売に要した費用がかかっていたとしても、広告費用換算では、簡単にペイします。

そして、ブランド発信(ストーリー)は、日本の横浜(神奈川)以外の地域で、シュウマイなりシュウマイ弁当を販売するときに、非常にプラスになります。

 

更に、台湾や他の海外でも、事業として「シュウマイ弁当」が販売できるようになれば、事業としても、文化の発信としても、非常に面白い取り組みになりそうです。

 

現時点、サンプル販売ですが、海外で事業をするなら、何よりもまず、事前に商標権を取得しておく必要があります。

崎陽軒」商標とそのローマ字表記の商標、「シュウマイ」と「シュウマイ弁当」のパッケージの商標あたりは、展開国で調査・出願すべきと思いました。(その次は、醤油さしの「ひょうちゃん」の立体商標です。)

 

実際に事業をすると、目先の利く人が、崎陽軒に先だって商標権を取得する(冒認出願)ことは避けられません。事前に商標権取得する場合、アジアなら、一カ国一商標10万円程度で済むところ、冒認出願されてしまうと異議申立や無効審判をしないといけなくなり、数倍の費用がかかります。場合によっては、相手に権利が認められたりすることもあるので、まず、海外展開するなら、構想の一番早い段階で、商標出願すべきとなります。

 

海外旅行ではパスポートが命の次に大事ですが、海外進出では商標権がそれにあたります。

 

崎陽軒が抜かりがあるとは思いませんが、国内中心の企業が海外進出するときは、ビジネスプランの前に商標です。