売れ残りの廃棄をやめると発表
2018年9月7日の朝日新聞で、バーバリーが売れ残り品を焼却処分を、即時にやめ、再利用や寄付につとめると発表したという記事がありました。
内容は、
- バーバーリーの昨年度の廃棄は、2860万ポンド(約41億円)
- 衣料品、香水、アクセサリー
- 理由は、商品が横流しされて安価で出回り、ブランド価値が低下するのを防ぐため
- 環境保護団体から批判
- バーバリーのCEOは、現在のぜいたくは、社会や環境に責任を持つことを意味すると声明
とあります。
コメント
この話のスタートは、7月のバーバリーの株主総会で株主が廃棄商品を購入する機会を与えられなかった理由を聞いたことからスタートしているようです
Burberry Investors Question Destruction of $38 Million in Goods - Bloomberg
株主の素直な質問が、問題に発展したという事例です。
さて、この問題は、NHKでも特集が組まれていました。何もバーバーリーだけの問題ではなく、業界全体の問題のようです。
例えば、BBCの記事では、カルティエとモンブランのブランドを保有するリシュモンは、過去2年間に480百万ユーロ(430百万ポンド)の時計を買い戻さなければならなかったとあります。
Burberry burns bags, clothes and perfume worth millions - BBC News
日経の下記の記事が一番まとまっているようです。
背景として、次の数字がありました。
- 年間100万トン、1枚300グラム換算で30億点近くの衣料品が廃棄されている。背景は需給のミスマッチ
- 経済産業省などの調査では、2016年の国内の衣料品の市場規模は約10兆円と1990年から3割減少。同期間で衣料品の供給量は約40億点と約2倍に増えている
前半は日本のことを言っているのか、世界のことなか不明なのですが、いずれにせよ、廃棄品は沢山あるということのようです。
後半の部分は、ユニクロやファストファッションが普及し、全般的に価格が低下していることも原因と思います。
個人の感覚としては、この26年で、衣料品は半額程度に安くなったように思いますし、その分、個人の購入点数などは倍ぐらいに増えているのではないかと思います。
そのため、この数字だけで流通での廃棄品が増えているはと言えないようにも思いますが、それでも業界の感覚としては、増えているのでしょう。
(ちなみに、今回の問題ではないのですが、個人の廃棄品を入れると確実に衣料品の廃棄は増えているのは確かです。ファストファッションの問題として、こちらの方が大きな問題であるように思います。)
対策としては、日経の記事には、
- 在庫ゼロ店舗
- 売れ残りに手を加えるアップサイクル
- 売れ残り品のネット通販のスマセル
などが紹介されていました。
また、NHKの特集でも、対策として、ゾゾスーツやデジタルサイネージを使った受注生産などが紹介されていました。
販売機会を無くしたくないので、在庫を持ち、それが原因で、廃棄物が増えるというのは、経営戦略としては、仕方ないようにも思います。
バーバリーはCEOが声明を出して、当面の火消しはやったようですが、今後、どうやって、再利用や寄付で乗り切るのかと思います。
バーバリーのニュースリリースには、傷ついた商品、欠陥のある商品、期限切れの美容用品などは、例外的に廃棄するとありますので、エキスキューズはしているようです。
Burberry Ends Practice of Destroying Unsaleable Products - Burberry
もう一つの個人の廃棄物ですが、これは、燃料と考えて燃やすしかないのでしょう。
衣料品の原料に資源としての価値がなさそうなので、家電リサイクルのようなことは、できないのだと思います。
個人が無駄な衣料品を買わないようにするしかないのでしょうか。
ユニクロのようなベーシックなものは別として、流行を追い求めるタイプのファストファッションは、環境にとっては問題があるように思いました。