Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

研修会に行ってきました

東南アジアの模倣品対策セミナー

2018年9月19日の18:30~20:40に商工会館であった、弁理士会関東支部主催の「東南アジアにおける模倣品対策~タイを中心として~」を聴いてきした。

 

 

面白いと思ったところを、順不同で書きます。

  1. アセアンの模倣品の90%は中国製で、メコン地域には陸路で入ってくる。陸路では税関差止は困難。インドネシア、フィリピン、マレーシア、シンガポールといった海の国と、タイ、ベトナムラオスカンボジアミャンマーというメコン地域の国は違う
  2. ミャンマーの新知財法の今年の成立は難しいのではないか。2018年6月~8月の大洪水で経済が停滞しており、知財法案のプライオリティが下がっている。著作権だけ少し先行しているが、商標などは2019年や2020年にずれ込むかも。現在の登記法から商標法への移管について、優遇措置があるが、証明書類が必要(案外大変そうです)
  3. 特許権のエンフォースメントで、翻訳の質が問題になってきている。英語で現地に依頼していも、最終的には、タイ語ベトナム語にする必要がある。このときの翻訳ミスの問題が出てきている。翻訳を外注している事務所よりも、事務所内に翻訳機能を持っている事務所の方が、一般的に翻訳の質が良い
  4. 日常的に、グーグル翻訳で現地語→英語を使っていた。読解には問題ないレベル。英文レターを日本語に翻訳して、意味に無理がないかチェック
  5. シンガポール特許庁は、審査官が100人いるが、90%が博士号取得者で、中国語がネイティブが35%。中国語サーチができるのがセールスポイント。生き残り策
  6. JETROバンコクが、東南アジア知財ネットワーク会員というものをやっており、登録すると、知財ニュースが受け取れる
  7. タイの模倣品対策は、警察、刑事裁判が中心
  8. 模倣品案件があるなら、JETROの真贋判定セミナーを、申し込むと良い。日本語でOK。現地語の通訳をJETROがつけてくれる
  9. ベトナム職務発明は、従業員の取り分が法定されており高額

 

コメント

講師は、弁理士の石川勇介さんで、弁理士会の費用でJETROバンコクに派遣されていたようです。

特許庁の方が、JETROバンコクに行くというように理解していましたが、民間の弁理士や企業経験者でも行けるルートがあること知りました。

 

20代、30代ぐらいの若いうちに、JETROバンコクなどの海外で駐在するのは、いい経験になるだろうなと思いました。ちなみに、石川弁理士は、特許の弁理士のようです。

 

模倣品対策と銘うっていますが、知財全般のお話しでした。模倣品対策に興味がある方は、パテントに石川弁理士の論考があるようですので、興味がある方は、そちらを見ていただけではと思います。

https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/3020

https://system.jpaa.or.jp/patents_files_old/201609/jpaapatent201609_015-027.pdf

 

個人的に興味を持ったのは、翻訳の話題です。

特許では現地語の翻訳が問題になっているようですし、シンガポール特許庁の売りが中国語能力であったり、現地での情報収集にGoogle翻訳が使われていたり、翻訳はいろいんな話題があると思いました。

 

例えば、外国商標では、英語で指定商品を記載して、海外に依頼します。しかし、どのような翻訳になっているかは、その言葉が読めないのでBlack Boxです。

20年前には、この問題が中国で大量に発生し、ライセンスや模倣品対策の段階になって、翻訳が間違っているということが判明して、問題になりました。

しかし、最近は、Google翻訳があるので、特許の明細書のような複雑なものは別として、単語レベルでは、間違いが少ないはずです。

 

ちなみに、Google翻訳をつかうなら、ブラウザーは、Google Chromeがお勧めです。