2018年9月21日の朝日新聞に、音楽配信会社の音源を無断で使い、カラオケ用の動画を作成し、投稿サイトで公開したとして、警視庁が都内の会社員の男性を、著作権違反容疑で書類送検をしたという記事がありました。
内容は次のようなものです。
- 音楽配信会社が有料で配信しているカラオケ用音源に、
- 歌詞をつけてカラオケ用動画を作成し、
- ユーチューブに投稿
- 著作隣接権を侵害
- 視聴回数が260万回を上回るものがあった
- 4年間で、約800万円の広告収入
- すでにサイトは閉鎖。男性は書類送検
コメント
朝日新聞の記事には、著作権は、作曲家と作詞家の権利で、JASRACなどが管理し、レコード会社などの音源製作者の権利は、著作隣接権として、著作権法で保護されているとあります。
また、最近は、「恋ダンス」など、販売元が期間限定で投稿を認める例があり、権利者も投稿により、盛り上がりがあって、ある程度歓迎している面があるとの弁護士のコメントが掲載されていました。
今回の事件は、4年で800万円というある程度の広告収入がありますし、他人の音源を無断で使って、事業をやっているようにも思えますので、致し方ないというところでしょうか。
一方、ねとらぼの2017年5月12日の記事によると、DAMを展開する第一興商が、カラオケ店内で歌う自身の姿を撮影したものが、著作隣接権の侵害となっている例があるようです。
カラオケ歌唱動画の投稿で敗訴 何がどう問題なのか、カラオケ大手メーカー2社に聞いた - ねとらぼ
ユーチューブには、個人が、カラオケボックスなどで自身が歌う姿をアップしています。これはお金のためのものではないと思います。
第一興商は、ユーチューブに対する削除依頼を、年間12万件やっているとあります。これは相当な手間です(ビデオに映っている音源などが、第一興商のものと分からないこともあるようです)。
また、ユーチューブへの削除要請は、JOYSOUNDのエクシングでもやっているようです。
個人が楽しみにアップすることについて、2018年9月21日付のJiji.comの記事に、早稲田大の上野達弘教授のコメントがありました。
個人的に楽しむためでも違法となるのは一般人の感覚と懸け離れている。動画サイトと提携して合法化した方が、カラオケ会社にとっても利益があるのではないか
第一興商やエクシングでも、有料ですが、個人がカラオケを歌い、それを公開することを事業としてやっているよです。
しかし、ユーチューブの方がプラットフォームとしては上ですので、わざわざこれでやる人は少ないのではないかと思います。
著作権法には、「業として」(事業としての)という要件がないので、個人的・家庭的な複製でも、理論上は侵害になります(家で何をやっても、問題にはなりませんが、著作権侵害です)。
上野先生は、一般人の楽しむことまで侵害というのはやり過ぎという認識です。
確かに、そのような動画では、歌っている人の歌唱がメインで、音源はサブですし、そこから収益が生じならいなら、カラオケ音源業者も許してくれるのではないかと思いますが、そうもいかないのでしょうか。