特許庁が検討中の記事
2018年10月17日の日経に、特許庁が商標審査に民間の弁理士を活用するという記事がありました。www.nikkei.com
- 商標の審査官は約130人
- 2021年度までに60人程度の調査部隊を作る
- 2019年度に民間の弁理士や弁護士を委託事業者として認定
- 審査に必要な報告書作成などを委託
- 出願された案件にまつわる過去の審査結果や実際の用途など、審査に必要な事前調査を報告書にまとめて特許庁に提出
- 商標の出願件数が大幅に増加。今後も増加の見込み
とあります。
コメント
昔の感覚で、商標の審査官は、100名と覚えていたのですが、今は130名ということです。委託する弁理士が60名というと、全体として1.5倍の規模になります。
審査期間が、6か月から9カ月にと、1.5倍に伸びているので、人員を1.5倍というのは、表面的な見方だと思います。
以前に比べて、サービスが増えたり、マドプロで入ってくる商標の指定商品・サービスの英訳とかで、商標よりも商品・サービスの理解に時間がかかるようになっているのではないかと思います。
それにしても、審査官用の先行商標調査用のシステムなどは、J-Plat Pat以上に、十分よく出来ているはずです。また、業務のOA化も進んでいることでしょう。
それでも外注が必要なのはなぜなのでしょうか?
現実に、商標審査官の業務量が増え、残業時間が増え、一方で、公務員の増員は簡単ではなく、外注をするという状態なのは分かりますが、何が課題なのかです。
AIで商標の類否判定が可能になるという話もあるのに、そちらな対応では、まだまだ無理があるというは、感覚的には合っています。
面白いと思ったのは、「実際の用途」という言葉です。使用宣誓もないので、商標を使用しているかどうかをチェックするためとは読めません(それなら使用主義的で、面白いのですが。外国周知など、周知商標のチェックは意味がありそうです。Google検索してみるとか、Global Brand Databaseで海外の登録状況をチェックするとか)。
私は、素直に、指定商品・サービスの用途と読みました。
商品やサービスの特定や類似を、真剣に見るなら、人手は足りないと思います。
大きな流れとして、日本を市場と捉える方向であり、マドプロなどを経由した海外からの出願が増えてくると思います。そのとき、外国人に使いやすい、理解しやすい制度にするには、まず、外国人の指定する商品の意味を理解する必要があります。
実際、この業務委託を受ける場合、商標調査程度のボリュームで、一人の商標弁理士の一部業務で済むボリュームなのか、ほぼほぼ、全業務時間を費やす必要があるのか?
執務場所は自分の事務所で良いのか?
部屋を分けるなどの情報遮断が必要なのか?PCは通常のもので良いのか?など、
不明点が多いのですが、面白そうな施策です。