商標審査基準の改正
2018年11月6日の日経に、政府が全ての元号を商標登録不可にするという記事がありました。
- 全ての元号の商標登録ができないように審査基準を改める
- 菅義偉官房長官が記者会見で明らかに
- 2019年2月をメドに、商標審査基準を改正
- 「現元号」から「元号」すべてを商標登録できない対象に
- 旧元号となる「平成」も対象
- 「明治ホールディングス」「大正製薬」は広く認識されているので、例外的に登録されている
同日の朝日新聞には、
- 特許庁が11月21日までパブリックコメントを募集
- 「昭和産業」の例
- 平成への改元時に、改元後最初の平日となった1989年1月9日だけっで「平成」にちなんだ出願が約30件。一番のりは、午前5時から窓口にならんだ
とあります。
特許庁のWebサイトに、審査基準案があります。
「商標審査基準」改訂案に対する意見募集について | 経済産業省 特許庁
商標法3条1項6号
「現行審査基準」
4.現元号を表示する商標について
商標が、現元号として認識される場合(「平成」、「HEISEI」等)は、本号に該当すると判断する。
「新審査基準(案)」
4.元号を表示する商標について
商標が、元号として認識されるにすぎない場合は、本号に該当すると判断する。
元号として認識されるにすぎない場合の判断にあたっては、例えば、当該元号が会社の創立時期、商品の製造時期、役務の提供の時期を表示するものとして一般的に用いられていることを考慮する。
コメント
菅官房長官が発表したという点に、驚きました。
公益などの見地からの具体的不登録理由の4条に入れず、3条ですので、識別性の問題です。元号だけでは、誰の商品・サービスか判断できないため登録しないという考え方です。
新聞では、「明治ホールディングス」「大正製薬」「昭和産業」などがあがっています。これらは、使用により識別力を獲得したとして、例外的に登録したという説明です。
従来の審査基準は、現元号だけですので、旧元号を排除をしていませんでした。(今更、旧元号を使いたいという人が少ないのかもしれませんが。)
今回は、新元号発表後、実際に改元がされるまでの間に、駆け込み的に出願されるものを排除しようということのようです。
さて、識別力の問題ですので、「平成」に何かがくっついていると、登録になります。何か面白い登録例はないかと思って、J Plat Patで見てみると、次の例がありました。
・「平成狸合戦/ぽんぽこ」(スタジオジブリ)
・「平成教育委員会」(フジテレビ)
また、図形付きのものとしては、
・「平成食品工業」
・「平成ビルディング株式会社」
・「平成建設」
などがあります。
他の文字が識別力があったり、他の図形に識別力があると、商標全体としては登録ができるということになります。
新しい元号になると、「平成」は設立年などの時代を示すものになりますので、それほど新しいものは出てこなくなるようにも思います。
新審査基準案の後半ですが、明治、大正、昭和、平成は、商標として使用されるケースが多いですが、それ以上前の誰もしらないものを、商標として使用しても識別力がないとは言えないということだと理解しました。