感覚的にはそうだと思う
2018年11月9日の日経の大機小機の欄に、「日本部門の弱点は法務部門」という記事がありました。
- 経産省の「日本企業の法務機能の在り方研究会報告書」
- 日本企業の法務が弱体であると分析
- 経営と一体に攻めの法務を
- 日本企業の法務部長で弁護士資格保有者は少数。社内弁護士は若手はいるが、経験を積んだ社内弁護士が不足
- 一方、海外子会社の法務スタッフは弁護士。外国人スタッフから違和感。法務部長が資格をもっていないことはハンディ
- 経営トップをサポートする関係にはない
- 人材確保が課題だが、処方箋は経産省の報告書にない
とあります。
コメント
アメリカの法務のトップは、当然、弁護士ですが、他の地域でも弁護士が多いように思います。
欧州で、海外販社の弁護士さんの会議に参加したことがありますが、確かに、海外の子会社では、法務担当は皆弁護士であり、商標の専門家というわけではないのですが、だいたい理解されていた記憶があります。
当時は、日本の駐在員は米国の弁護士資格はあったかもしれませんが、日本の弁護士ではなかったと思います。
日本の駐在員や、法務のTOPが弁護士ではないからと言って、特に不利益はないのですが、気持ちとしては資格があった方が良いのはその通りです。
日本も、最近は、社内弁護士が増えているので、あと10年経つと、その中から法務部長になる人が、徐々に出てくるとは思います。ビジネスセンスのある弁護士が法務部長になると、経営陣との関係も深くなる可能性がありますし、弁護士のTOPの元には、弁護士が集まりやすいかもしれません。
日経に出ていた、経産省の報告書は、次です。
守りをガーディアン、攻めをビジネスのパートナーと表現しています。
また、GC(General Counsel=法務部長の別名)やCLO(Cheaf Legal Officer)の設置や、レポートラインの在り方や、リスクの取り方などを提言しています。
本文の方に、面白いコラムがあり、GCが一般的になったのは、1980年代後半のGEからとあります。この法務部門の変化は「革命」とあり、法務部の中心メンバーに優秀なキャリアを持った弁護士を採用したためとあります。
企業からみると、高額なチャージに対する不満や、企業が向き合う法的リスクやレピュテーションリスクが増えたことによる法務部門へのニーズの高まりなどがあり、
弁護士からすると、一つのクライアントのために仕事ができるので、問題を事前から予防できるし、ビジネスと法律の両方にまたがる仕事ができる。ノルマが厳しい。ストックオプションなどで報酬面からも期待できるとあります。
企業内弁護士は、10年で10倍になり、2000名を超えているようですが、10年以下が7割ということのようです。
できれば、企業の法務で、この人はという人に投資をして、日本版ロースクールに入ってもらい、弁護士になり、将来、法務部長になって欲しいのですが、企業はアメリカには研修で出しても、日本版ロースクールは嫌だといいます。グローバル化対応が先決という意識と、合格後、会社を辞められるのが嫌なのだと思います。
一方、日本版ロースクールができて、弁護士が余剰になったという説もありましたが、2015年以降は、弁護士不足という記事もありました。大型M&Aなどが活発化しているためとあります。
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大手の事務所の状況が良いので、企業には弁護士が集められないとあります。それなら、自前の社員を長期的に育成すべきとなるのですが。。。