Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

西武・そごうの広告の意図

そうなんだ

2019年1月7日のJ-castニュースに、正月の西武・そごうのパイを投げつけられる広告についての解説記事がありました。

www.j-cast.com

 

この広告は、日経と朝日新聞に掲載されていました。暴力的、悪意を感じるという批判があったようです。

 

さて、J-Castニュースは、西武・そごうに制作の意図を確認しています。

それによると、

  • そごう・西武は、2017年から『わたしは、私。』というメッセージ広告を発信
  • 同質化圧力から脱却し、私らしく生きることを応援するという意味
  • 今回のメッセージも、同様の考え
「さまざま制約の下でも、ご自分らしさを全うするために奮闘される女性や、それに共感するすべての方々を応援していきたいというメッセージを込めて発信させていただきました」

 

とあり、表現については、

 

「『わたしらしさ』を貫くために、立ち向かう女性を、演出上の『たとえ』としてパイ投げで表現しましたが、これについて、ご不快な思いをされた方については、心よりお詫びを申し上げたく存じます」

とあります。

 

コメント

表現に関しては謝罪をしていますので、それ以上の反応はないようです。

現時点でも同社のWebサイトに掲載されています。

わたしは、私。 | 西武・そごう

 

制作のポイントは、さまざま制約の下でも、自分らしさを全うするために奮闘される女性や、それに共感するすべての方々を応援していきたいというメッセージであるとあります。

 

30年前を考えると、女性は深夜残業も禁止されていましたし、鉄道の仕事など24時間勤務の仕事には、つく事さえできませんでした。今は、女性の車掌さん、運転士も沢山います。

男性、女性関係なく、社会の荒波に遭遇こともあるでしょうしし、そういうことを表現しているんだろうなとは思いました。

 

コミュニケーションの部署にいたときは、合計で、3名の女性の部下になったことがあります。女性が相当苦労している姿も見ているので、このビジュアルは、あまり違和感なく受け入れました。

 

3段落の説明文のコピーがありますが、このコピーとの兼ね合いが、微妙だったんでしょうか。

 

しこし、この3段の説明文がなく、最後の「わたしは、私。」だけであったとしたら、また、これはこれで何を言っているのか、分かりません。

 

女性躍進という掛け声だけではNGという前説があり、ビジュアルで、既に男女の差の社会が現実になっている面があり、それを最後の「わたしは、私。」の男女差のない状態を示すコピーで締めるという一連の流れが必要だったのかもしれません。

 

2017年からシリーズで「わたしは、私。」をやっているとありますので、先にコピーや考え方があり、それいに見合った、多少きつい表現のビジュアルをつけたという感じでしょうか。

 

ちなみに、論点は、全く違うのですが、今回のパイの広告では、クリームについては、脚注で

※食用ではない特別なクリームを使用しています。

 と説明書きがついています。このディスクレームでは、食べ物を粗末にしてはいけないということの他、この広告は、色々配慮しているということは伝わります。

 

まあ、話題になったということで、広告としては、成功ということでしょうか。

 

nishiny.hatenablog.com