こんな感じか
特許庁のWebサイトに、少し前から新聞で話題になっていた、商標審査業務の一部の民間委託に関する公募の件が掲載されています。
「商標における民間調査者の活用可能性実証事業」の企画提案の公募について | 経済産業省 特許庁
2019年1月29日に掲載され、説明会が2月5日にあり、もう終わっています。この説明会に参加したところでないと参加できないようなので、事前にニュースが出た段階で、検討していないと、応募の資料の整備等はできなかったのではないかと思います。
この特許庁のページと、公募要領から、大体の概要は分かります。
(公募要領)
http://www.jpo.go.jp/koubo/koubo/pdf/20190129_shouhyou_minkan/youryou.pdf
内容は、商標審査官のために審査資料をまとめることです。特許庁から必要な機材の貸し出しはあるようですが、事業者は、調査ができる人を集める必要があります。
公募要項では、3か年計画の提出が必要です。
あくまでも、実証実験とありますが、想定している件数は、半端なものではないようです。
<特許庁が実証に必要と考える見込み調査案件数等>
1年目:約38,000件程度
2年目:約50,000件程度
3年目:約62,000件程度
20万件弱、十数万件の商標出願件数の内、この数字ですので、相当あると思います。
事業規模は、平成31年度 約12億円~平成33年度 約16億円と立派なものです。
また、調査指導者及び調査者の人数は、
- 1年目に33人、2年目に34人、3年目に40人程度の調査者と、
調査指導者が、
- 1年目に4人、2年目に4人、3年目に5人程度必要とあります。
例えば、1年目に38,000件の調査を、33名で担当するとなると、一人1,151件です。3面目は、62,000件を40名ですので、1,550件です。毎月100件以上、20日勤務として、1日5件となります。
無理な数字ではないというところでしょうか。ただ、調査ばかりやっているのは、つらい仕事かもしれません。
実証事業といいながら、規模も相当あるので、運用フェーズに近いなと思いました。
当初は、
- 指定商品・指定役務に関する調査
- 図形検索を必要とする案件
- 国際商標登録出願、新しいタイプの商標、地域団体商標、団体商標、防護標章、分割新出願等
は避け、なるべく単純な商標登録出願から実証を開始するとあります。
公的な団体や、ある程度大手の知財管理の会社でないと、この公募要項をみて、応募しようと思わないと思います。そして、どこか一団体、一社に決まるのだと思います。
複数会社にした方が、競争原理は働きますが、特許庁にすれば、一社が楽なんだろうと思います。
新聞で、記事を見たときは、開業したての商標弁理士の副業になれば良いという感じで見たのですが、そうはいかない感じです。
どちらかというと、企業なり、事務所を退職されたような方で、商標調査に関係の深い人が、一か所に集まって、調査員として働くというイメージがします。
再委託で、弁理士を活用できるとすると、開業したての商標弁理士に仕事が回ってきますし、守秘義務契約をしっかりやれば、同じだと思いますが、おそらく、ダメなんでしょうね?
3年間の実証が終わり、本格運用する時期には、そのようなこともあると良いなと思います。