中国の消費の変化
2019年2月21日の日経に、中国の消費者が「見えっ張り」から賢い消費に変化し、地場の会社が急成長しているという話が出ています。
- スタバは1999年進出で、3600店。憧れのコーヒーブランド
- Luckin coffee(ラッキンコーヒー)は2018年参入。2000店
- 2杯でもう1杯無料。価格も2割安
- 平均給与の2~3倍でコーヒー人材を引き抜き。スタバからも従業員が流失
- 無印良品は2005年進出。中国にない日用品を持ち込み、中国人の憧れのブランド
- しかし、家電量販の蘇寧易購集団の「蘇寧極物」が人気
- 実力若手デザイナーを起用。ビッグデータで顧客の好みを分析
という内容です。そのほか、
- アリババ集団も、無印良品のデザイナーを務めた深沢直人を起用
- コンビニでは「便利蜂」が、日本式商品開発とITと急拡大
- 家具では「居然之家」がイケアを脅かす存在
全体的な理由として、
- 価格が高く高品質の海外ブランドから、「価格も安くて、品質もまあまあ良い」賢い消費に
とあります。
コメント
中国出張したときに、日本と同じように、スターバックのお店は良く見かけました。日本と同じように人気なんだと思って見ていました。中国語では「星巴克」です。
スターバックスが、20年かけて3900店のところ、1年で2000店というのは、相当な成長スピードです。これなら、スタバの店舗数を抜くんじゃないかと思います。
カフェチェーンで10年以上の経験を持つ人材を、平均給与の2~3倍で引きぬくことや、価格や割引が特徴のようですが、あっという間にこれだけ成長するというのは、中国人にコーヒーが人気と言うことが背景にあると思います。また、賢い消費にシフトしてきているのもそうだと思います。
家庭の天井にあるシーリングライトには、ブランドロゴがありません。あるとしても、開け方を説明するシールに、小さくブランドが記載されているだけです。
しかし、以前の中国では、堂々と、大きくブランドロゴがありました。
中国の消費者が、海外の高いブランドの製品を使っていることを、来客に示すためと聞きました。
照明という機能から考えると、大きなブランドロゴで、光を隠すのはどうかなと思ったのですが、賢い消費者が増えてくるなら、このあたりも変わっているのかもしれません。
この記事は、中国の消費者の変化を紹介するのが、目的なのでしょうが、もう一つ、経営戦略を示してくれているようにも思います。
Luckin coffeeのような手法をとれば、スターバックスを抜くコーヒーチェーンを、今からでも作れるのかもしれません。
タリーズなどは、スターバックスと同じような価格帯で、同じようなインテリアの店舗で、同じような商品だと思います。タリーズは、立地の違いで、スタバとすみ分けているような感じがします。
一方、ドトールは価格です。昔は、喫煙可能なことが差別化要因だったと思いますが、これは早晩変化するように思います。
大阪の水出しコーヒー/ダッチコーヒーのHoll's Cafeは、東京に出てくれば、成功すると思うのですが、全く、関西から出る気配がありません。
少し庶民派に振り過ぎているかもしれませんが、非常に堅実な経営をしているだろうなという印象です。でもスターバックスとは、違います。
コーヒーチェーンは、身近なものですし、ブランド論として面白いですし、コメダ珈琲に至っては、不競法事件や、空間デザインで意匠法や商標法の改正の恰好の素材を提供してくれています(コメダ珈琲は、MKBパートナーズが入って、やったようです)。
コーヒーチェーンは、ブランドとしても、商標としても、見ておかないといけないと思います。