ブランド毀損の防止
2019年2月28日に、電通の「2018年 日本の広告費」のニュースリリースが出ています。
- 広告費の総額は、6兆5,300億円(前年比102.2%)で、2011年の底(5兆7,096億円)から7年連続のプラス
- インターネット広告は、1兆7,589億円(前年比116.5%)
- 地上波テレビ広告費は、1兆7,848億円
- インターネット広告媒体費のうち、運用型広告費が1兆1,518億円(前年比122.5%)
- ブランドセーフティへの関心の高まり
- アドフラウド問題への対処など、コンプライアンス意識が求められている
などとあります。
コメント
日本の広告費自体は、2011年から比べると、14%も伸びてます。リーマンショック前は、7兆円を超えていたので、そこと比べるとまだまだなのでしょうが、着実に回復しているなと思います。
その中でも、他の媒体は、軒並み横ばいかダウン傾向で、インターネット広告が伸びています。
インターネット広告では、
- 運用型広告
- ビューアビリティ
- ブランドセーフティ
- アドフラウド
など、聞きなれない言葉が出てきます。
運用型広告とは、Yahoo!Japanのバナー広告のような、純広告をのぞいたもので、1クリックしていくら支払うというタイプの広告のようです。
ビューアビリティ、アドフラウド、ブランドセーフティの定義は、電通報に記載があります。
- ビューアビリティ(Viewability)
広告がユーザーに本当に見られているのか? - アドフラウド(Ad fraud)
広告が“人”ではなく“ボット”(=BOT、インターネット上の操作を自動で行うプログラム)によって閲覧やクリックがされていないか? - ブランドセーフティ(Brand safety)
広告が不適切なサイト上に表示されていないか?
これらは、2017年1月、P&Gの最高ブランド責任者が「広告価値毀損」に関するスピーチで、デジタル広告の問題点を指摘したことから話題となったそうです。
特に、ブランドセーフティについては、2017年の3月、世界的な広告会社アバスが「ブランド毀損リスクの高さ」を理由に、GoogleやYouTubeへの広告出稿をイギリスで取りやめたとあります。
デジタル広告の新常識「ビューアビリティ」「アドフラウド」「ブランドセーフティ」 | ウェブ電通報
日本では、大和ハウスが先進的な取り組みをしているようです。
コンテンツ単位のブランドセーフティが必要 大和ハウスの徹底した対策に迫る (1/3):MarkeZine(マーケジン)
住宅は、高額商品なので、出稿先の選定は重要なようです。
そこで、イスラエルの「CHEQ(チェック)」というツールを使って、媒体単位ではなく、コンテンツ単位で、コントロールしているとあります。
全記事の約3割をブロックしているが、反対に従来は掲載できなかった媒体に掲載できるようになったとあります。
フラウド(fraud)は、詐欺のことで、商標の業界では、実際はその商品に使用がないのに使用があると言って使用宣誓するときに、権利が無効になるなどのときに良く出てくる言葉ですが、Ad fraudは、ロボットがやっているんですね。
ブランド毀損は、事故、不祥事、品質問題などリスクマネジメントの関係で出てくる言葉ですが、インターネット広告では広告主自らがお金を払って、自らブランド毀損をしている可能性があるので、大和ハウスのような、地道な活動が大切なんだなと思いました。
守りを固めることはあまり評価されないですが、実は攻めの手段になることがあるのではないかと感じました。