第29回読者が選ぶ ネーミング大賞
2019年3月1日の日刊工業新聞の電子版の電子版に、同紙のネーミング大賞の話が掲載されています。
第29回読者が選ぶネーミング大賞、「だい杖ぶ」に決定 | トピックス ニュース | 日刊工業新聞 電子版
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今年は、
- 大賞は「だい杖(じょう)ぶ」:日本生命保険の生活習慣病に備える保険商品
- ビジネス部門の1位「一網打尽」:岩田鉄工所の店舗天井に設置する防犯装置
- 生活部門の1位「本麒麟(きりん)」:キリンビールのビール系飲料
- 洗練されたセンスを評価する「スタイリッシュネーミング賞」1件
- 遊び心のあるネーミングに着目した「ユーモアネーミング賞」3件
- 企業や商品のブランド名を評価する「ブランドネーミング賞」2件
とあります。
第29回とありますので、長く続いているようです。
「読者が選ぶネーミング大賞」は、
- 読者の投票で優れたネーミングを選ぶ
- 日刊工業新聞に掲載した新製品、新サービスなどの中から、きらりと光るネーミングをノミネート
- ビジネス部門と生活部門を設定し、読者の投票によって「かっこいい」「ユーモアあふれる」「忘れられない」「とにかくぴったり」など、これから長く広く愛されていくだろうネーミングを選定し、表彰
とあります。
コメント
いままで、日刊工業新聞はほとんど読むことが無かったので、この表彰制度自体知りませんでした。
日刊工業新聞で掲載した新製品、新サービスからノミネートがあり、それを読者が選ぶというものです。
既に投票は終了しているのですが、エントリー候補の情報は、こちらにありました。
生活部門、ビジネス部門各々15個のノミネートです。知っているものもありますが、知らないものが多い感じのノミネートです。
投票総数は、1万2798票とある程度あります。新聞に広告のようなものがあり、時計などの景品がもらえるので、読者は積極的にアンケートに回答するようです。
過去の表彰されたものも、見ることはできます。それを見ていると、知っているものも多くあります。こらから長く愛されるネーミングを選定し、表彰するとありますので、それに沿った結果かもしれません。
過去の結果を見ると、LIXILのような、本格的なコーポレートブランドなども含まれているのですが、全体的には、BtoBの、個別の商品・サービスの、国内中心の、ネーミングが多いようです。
どちらかというと語呂が良かったり、洒落を使ったものが多いように思います。
毎年のネーミングのランキングや、ロングライフ・ネーミングの表彰制度などが、合ってもおかしくないのですが、それに特化したものは無いように思います。
ブランド系では、次が有名ですが、ネーミングとはあまり関係ありません。
- インターブランド Best Global Brands、Janan's Best Global Brands
- 日経BP ブランド・ジャパン 2018 総合力ランキング
ヒット商品系は、ネーミングが出てくるのですが、商品を呼ぶためにネーミングを使っているだけであり、純粋にネーミングの顕彰・表彰ではありません。
グッドデザイン賞などは、これに比べて、(インダストリアル)デザインに特化しており、デザイナーを表彰することにもつながっています。
実際はネーミングは、相当高度な知的「創作」作業なのですが、商標は、法律の創作行為の結果物ではなく、選択行為の成果物にすぎないと法律は整理しています。
そのため、商標出願時に、創作者を記載しません。
法律と世間の感覚のズレのあるところであり、このズレはグローバルにそう整理してしまっています。唯一の例外が、EU法であり、「商標」も創作行為の成果物であれば、EU意匠で、商標を「意匠」出願できるという点ぐらいです。
言いたいのは、日刊工業新聞のこのネーミング賞は、あまり表彰対象となっていない、ネーミング自体に着目しているので、良いところを突いていると思うのですが、日刊工業で紹介されたものだけであることと、読者だけが選択するという点で、いまいち、企業が着目する表彰制度になっていないのではないかと思いました。