2019年6月6日のJ-CASTニュースで、サークルKサンクスのドメインネームがお名前ドットコムで販売されていることが、ニュースになっています。
「サークルKサンクス」ドメイン失効→オークションに ファミマ広報「現在確認中」 : J-CASTニュース
- 所有者が出品したものではなく、更新期限が切れ、オークションという形で競売にかけている
- 2019年6月1日から18日までのオークション(入札額は約30万円)
- サークルKサンクスは2016年にファミリーマートと経営統合
- 「サークルK」「サンクス」両ブランドは「ファミリーマート」へ転換
- 2018年11月30日にはすべての店舗の営業が終了。同日公式サイトも終了
- 「circleksunkus.jp」は4月30日に更新手続き期限が切れた
- 所有者が再取得できる「猶予期間」も終了し、6月1日からは、所有者以外でも新規登録可能に
- 5月以前から複数の登録希望者から申請あり
- お名前ドットコムが即座に登録
- これをオークションにかけて、第三者に販売
- 成人向けサイトや、フィッシング詐欺サイトなどに転用されてしまうおそれ
とあります。
コメント
ニュースになっていますので、ファミリーマートのドメインネーム担当者は、取得等の対策を検討していると思います。
更新しておけばよかったと思っているのではないでしょうか?
会社合併などがあり、新しいブランドになったり、買収した企業のブランドになり、以前のブランドが不要になることがあります。
そのとき、商標やドメインネームをどの程度管理しておくべきかは、大きな問題です。複数の商標権やドメインネームを管理するには、それなりのコストがかかります。
会社買収の効果を金銭的評価するとき、ブランド統合などをすると、商標権やドメインネームの管理コストが安くなるという面はあります。
しかし、このJ-CASTニュースにあるように、成人向けサイトや、フィッシング詐欺サイトなどに転用されてしまうと、ファミリーマート自体の信用に傷がつく大変な問題になります。
商標権なら、10年の権利期間があります。国内でも複数の権利があったり、各国で権利取得していたりすると、しばらくは、更新しなくても、ある程度の権利は残っていたりします。
一方、ドメインネームは、毎年、料金を払い更新するタイプが多いので、すぐに問題になります。
商標の場合は、不使用取消で、欧州のように5年、日本のように3年と期間はいろいろですが、この程度の期間、不使用なら取り消されてしまいます。
この5年なり、3年なりという基準ですが、ネーミング(商標業界用語ではペットネーム)レベルはそれで良いですが、(コーポレート)ブランド(商標業界用語ではハウスマーク)では、信用の残存期間は、もっと長いと思います。
一世代、30年ぐらいは、信用は残存するのではないでしょうか?子供の頃に慣れ親しんだブランドは、死ぬまで覚えています。
そうなると、その管理をどうするかというのは、大きな課題になります。コストをかけて、ある程度は守っている会社が多いのではないかと思います。
30年前、NCRのNational商標が、いつも「目の上のたんこぶ」のようなものとして考えていたのですが、NCRはすでに永年Nationalを不使用でした。しかし、NCRがAT&Tに買収された途端に、AT&Tが取った対応策は、Nationalを多くの分類で出願するというものでした(それも登録には使用が必要なアメリカで)。
AT&Tは、NCRは使っても、Nationalに戻ることはないのに、そうしたのです。
Wikipediaによると、NCRは、1991年にAT&Tに買収され子会社化。1997年1月1日にNCRとして再び独立したとあります。
Global Brand Databaseで見ると、まだ、アメリカで、NCR Corporation名義でActiveなようです。
ドメインネームについては、「.com」の他は、「.co.jp」と「.jp」の会社が多いですが、「.co.jp」と「.jp」は、以前は、1社1ドメインの原則がありました。
しかし、社名ブランド変更や合併に対応するために、「.jp」では、この原則が緩和されているようです。