商標権侵害
2019年6月4日の産経(THE SANKEI NEWS)に、五輪のピンバッジの偽物を輸入販売したとして、男が逮捕されたという記事がありました。
- 東京五輪のエンブレムを模した偽ピンバッジを販売
- 警視庁生活経済課が、商標法違反の疑いで、長野市の会社役員を逮捕
- インターネットで五輪の偽ピンバッジを約240回売り、約140万円を稼いだ
- フリーマーケットアプリを通じ偽ピンバッジ3個を計2万7600円で販売
- 「偽物と知らなかった」と容疑を否認
- ラグビー・ワールドカップ関連のものも含め30種約3000個のピンバッジを 押収
- 同課が正規品か確認を進めている
コメント
産経に出ていた写真を見ると、オリンピックとパラリンピックの大会ロゴ(その下にはオリンピックやパラリンピックのロゴもあります)と、日本航空の鶴丸のマークが真ん中にあります。
大会スポンサーの企業が、ホスピタリティのために作成したもののようです。
日本では、ピンバッジを交換することが、それほど一般的ではないのですが、オリンピックでは、風物詩になっているようです。
オリンピックとピンバッジ ビッグウェーブ | pin-bigwave
大会マスコットキャラクターなどの公式グッズのピンバッジは、ネットなどでも簡単に買えますし、オークションサイトでは、例えば、コカ・コーラの過去の大会のピンバッジも沢山売っています。あまり高くないものもありました。
コレクターが、どのようなタイプを集めいているのかは、良く分かりません。
メルカリで見ていると、数百円で入手できるピンバッジが沢山あります。そして、今回の鶴丸の入ったピンバッジと同じものが、10,000円とあり、SOLDと表示があります。
一方、黒猫ヤマトの黒猫のピンバッジは、鶴丸のものとデザインは同じようなものですが、2,000円台です。日本航空のものは、人気のピンバッジなのかもしれません。
企業が、関係者に配るものなのと思いますが、どうやって入手するのかと思います。取引先などに配るのでしょうか?
さて、冒頭の記事の商標権侵害ですが、日本航空は、ピンバッチに商標登録があるのだろうかと思いました。
おそらく、企業広報のためのピンバッジは、大会マスコットのバッジとちがい、無償であり、商品ではありません。
ハウスマークですし、日本は本国なので、登録があるかもしれませんが、原則的には、無償なら、商標権がなくても良い(商標権侵害にはならない)ということで、積極的にピンバッジを指定商品にした商標登録はとっていないこともあると思います。
一方、東京五輪・パラリンピックのマークや、オリンピックやパラリンピックロゴは、ピンバッジにも、当然商標権を取っていると思います。
そういう意味では、企業の商標の侵害というよりも、オリンピックロゴの侵害なのかもしれないなと思いました。
ちなみに、国際分類では、14類の「身飾品」というところで、ピンバッジがあるようです。
逮捕されたのは、ピンバッジが偽物であり、また、警視庁が故意・過失もあると考えたためと思いますが、偽物かどうかの真贋鑑定も大変ですし、故意・過失の立証も大変そうです。
メルカリで簡単に入手できるようなものですので、それを買って転売したとしても、通常は正当な商行為でしかありません。
もし、そのバッジが偽物でも、メルカリを信用したといえるので、故意・過失があるとまでは、言えないように思います。
中国のサイトから日本向けに商品を買うことも、最近は簡単だと思いますので、購入転売をやっただけで捕まってしまう訳ではないと思います。
偽物と知りつつ販売しているということなのだと思いますが、警視庁はどのあたりを見てチェックしているのだろうと思います。
記事からは良く分かりませんが、何か、通常の個人の転売を超えた行為があったのではないでしょうか。
240万円の儲けということで、少し規模は大きいようには思います。