ブランド化粧品147点
2019年6月13日の日経で、高島屋がブランド化粧品の原産国に関して異なった表示をして、原産国の不当表示として、景表法に基づき再発防止命令を受けたという記事を見ました。
高島屋、原産国を違法表示 ブランド化粧品147点 :日本経済新聞
- 高島屋が、オンライン販売で、事実と異なる原産国を表示
- 消費者庁は、景品表示法違反(原産国の不当表示)に当たるとして再発防止命令
- シャネルやディオールなど有名ブランド
- 化粧品の種類は147点
- 景表法違反と認定された1社当たりの販売商品としては過去最多
- ディオールの韓国産ファンデーションを「フランス産」と表示するなど
- 原因は取引先から誤った原産国を伝えられた
- 原産国が変わったことに気付かず、誤った掲載を続けたなど
- 購入した顧客から高島屋に「原産国が違うのではないか」と問い合わせで発覚
- 報告を受けた消費者庁が調査
同日の毎日新聞には、
- 25ブランドの正規の化粧品
- 韓国産をフランス産、フランス産をアメリカ産などと表示
- 購入した客から、原産国が違うと高島屋に問い合わせ
- 高島屋の報告を受け、消費者庁が調査
- 対象商品の販売数は3920点(計約1500万円)
- いずれも商品自体には正しい表記
高島屋通販サイト 化粧品など原産国表示に誤り 消費者庁が再発防止命令 - 毎日新聞
コメント
消費者庁の報道発表資料があります。
原産地表示は、景表法の中に、
- 商品・サービスの取引に関する事項について一般消費者に誤認される
おそれがあると認められ内閣総理大臣が指定する表示(5条3号)
というものがあり、その中に、
- ②商品の原産国に関する不当な表示
というものがあるようです。
最近、話題の、課徴金の対象ではなかったようです。
消費者庁の管轄となったことや、課徴金制度で、景表法ががぜん、脚光を浴びています。今や、商標法よりも、重要な法律になったような感じさえします。
例えば、花王のブランド法務部は、商標法と景表法の二つに対応するのが、ミッションです。商標部門の再生、強化の一つの方向性ではないかと思います。
商標部門の依頼者は、マーケティングの人達であり、その人に対する法務サービスという点で、客先が共通しているのだと思います。
景表法の担当は、事業毎に公正取引協議会が別だったために、薬事であったり、宣伝であったり、営業であったり、法務であったり、色んな部門に点在しているので、それを一か所に集めて、強化するのはありだと思います。
さて、今回の件は、顧客から高島屋に問い合わせがあり、高島屋が消費者庁に通報したようですが、消費者庁には、独自の通報システムがあり、Webサイト上で問題を通報できるようです。
あるWebサイトによると、消費者庁景表法担当の課長補佐がある会合で言うには、概数として、
景表法違反の通報が年間11,000件あり、そのうち、調査に取り上げるのが5-600件で、そのうち、措置命令に至るのが50件。それを70名くらいの職員で対応しているとあります。
景表法違反の通報/食薬区分・機能性表示の変更 ~1783号~(2019/03/19) : 化粧品広告表示・健康食品広告表示ナビ
この通報制度は、景表法の運用上、良く機能していると思います。
日本でも、最近は、ネットショッピングや、オークションサイト、フリマアプリを中心に、模倣品が出てきています。
この対応は、このような通報システムが必要です。
経産省の模倣品対策課が、近いことはやっていますが、これの拡充が必要なような気がします。
韓国の特許庁には、模倣品対策の捜査権があります。厚生労働省の麻薬Gメンのようなものです。日本も、特許庁に、この種のものを設置するべき時期に来たのではないかと思います。
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