こう説明するのか
2019年7月19日の日経にで、移転価格税制の説明を見ました。「知ってナットク!企業と税金」の3回目です。
- 国境をまたぐグループ内の取引について、税金を取り漏らさぬよう各国の当局が目を光らせている
- 100万円の車を、海外子会社が170万円で販売したケースを想定
- 親会社から、150万円で卸したときは、親会社の利益は50万円。海外子会社の利益は20万円
- 日本の税率を30%。子会社の所在地の税率を10%とすると、50万円×30%+20万円×10%=17万円
- 一方、親会社から、120万円で卸すと、親会社の利益は20万円。海外子会社の利益は、50万円
- 20万円×30%+50万円×10%=11万円が、税金
- 日本税金は、15万円から6万円になる(差額9万円)
- 税務当局は、グループ内の移転価格が適正かどうかを問題視
- 税率の安い国で利益が多くでるような場合、税金を取り逃がした国が追加課税
- 価格が妥当かどうかの判断がむつかしい
コメント
ブランドライセンスのときにも、子会社に対するライセンスと子会社以外に対するライセンスの料率が同じでないと移転価格税制上問題であるというような言われ方をしたりします。
移転価格税制は、国内の贈与のようなものだと聞くことが多かったのですが、この日経の説明の方が、正しいようです。
海外子会社への150万円と120万円の販売価格の差が、贈与だとすると、30万円の贈与になり、贈与税の追徴課税は、上の例の9万円では済まないのではないでしょうか?
ただ、原理的には、似た話ということなんでしょうか?
インターブランドの話などを聞いていると、ブランドの価値などは、本当は、商品によっても違います。香水や服飾品ではブランドの寄与度は高く、例えば、鉄では寄与度が低くなると言います。
同じ電機企業でも、AV商品や白物家電は高めで、部品は低くなるはずです。
地域でも差がありえます。欧州ではブランド価値が高いが、アメリカではそうでもないというブランドがあった場合は、本当は、地域毎にブランド使用料も違ってくるのではないかと思います。
商品や地域によって、ブランドの価値に差があり、それが、ブランド使用料率の差につながっていると合理的に説明できれば良いのでしょうが、ブランド価値の認定が大変そうです。
そのため、コーポレートブランドなどは、全世界、全商品一律の料率としている会社が多いのではないかと思います。
コーポレートブランドの場合で、全世界から本社費を集めるタイプのものは、上記のようなものが多いではないかと思いますが、商品ブランドなどで、特定国にライセンスして、ブランド使用料を取る時は、また、考え方が違うかもしれないなと思いました。