刑事裁判で不足
2019年7月28日の朝日新聞で、法廷通訳の話が出ていました。記事本文は誤訳を理由に最高裁まで争っているケースを紹介していますが、その下に、法廷通訳の現状が解説されていました。
- 在留外国人は、273万人
- 訪日外国人は、3119万人
- 外国人が起訴される刑事事件で、一審で通訳が付いたのは3757人
- 全国の裁判所に登録されている、通訳は3586人
- 2013年の3965人から減少
- 20以上の言語
- 仕事を割り振る基準や待遇が不透明(日本司法通訳士連合会)
- 中国語の通訳は、200~300人。依頼は約20人に偏り
- 報酬は事件ごとに裁判所が決め、一回の公判で数万円
- 事前準備、起訴状や判決文の翻訳作業は対象外
- 割りに合わない
- 正式な資格制度はなく、技能にばらつき
- 欧米、韓国は資格制度あり
- 青学と東京外大が「司法通訳養講座」を共同で開講
というような内容です。
コメント
法廷で話される言葉は、日本語でも難しいのに、それを外国語でとなると相当レベルの高い仕事だなと思いました。
双方の国で、生活をしたことがある人でないと、無理があるように思います。
最高裁の法廷通訳の紹介パンフレットを見ると、刑事事件で使用されている言語が載っています。
- 中国語(28.5%)
- ベトナム語(20.5%)
- ポルトガル語(9.1%)
- フィリピノ語(タガログ語)(9.0%)
- 英語(6.6%)
- スペイン語(5.6%)
- 韓国・朝鮮語(5.2%)
- タイ語(4.7%)
- インドネシア語(1.8%)
- ペルシャ語(1.4%)
- その他(7.6%)
その他の言語しては、アラビア語、ウルドゥー語、シンハラ語、トルコ語、ネパール語、 フランス語、ベンガル語、ミャンマー語、モンゴル語、ロシア語 などとあります。(シンハラ語は、スリランカの言語の一つのようです。)
必要性は、中国語、ベトナム語、ポルトガル語、フィリピノ語(タガログ語)などにあるようです。
青学と東京外大の共同講座が紹介せれていますが、そこで開講されるのは、スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語とあります。
需要の多い、中国語ではないのですね。
この2年半、商標の仕事に舞い戻り、各種の会合で、多くの商標の仕事をしている弁理士さん弁護士さんにお会いしまいたが、中国人の方で、日本の弁理士資格を有している方が数名おられ、また、中国の事務所の日本事務所の弁護士で、日本で業務をされている方も数名おられました。皆さん、日本語が堪能です。
特に日本の弁理士試験に受かっている方は、日本人でも難しい弁理士試験に、日本語で受験して、合格しているわけですので、凄いなと思います。
当然、日本語も上手ですが、中国の法制度も熟知しているので、彼らであれば、法廷通訳に最適です。
もっとも需要の多い、中国ですが、1審で法廷通訳が付く事件数は、1000件程度で、実際は20~30人の通訳で対応とありますので、1000を30で割ると、だいたい一人35件程度になります。公判が何回あるのか、不明ですが、それほどの収入にはなりません。
起訴状や判決文の翻訳作業も重要だと思います。
法廷通訳の活躍の場は、捜査通訳という警察関係の仕事もあるようですし、民事事件もあるとは思いますが、どの程度の収入になるのかなと思いました。
ちなみに、日本司法通訳士連合会というところが、講座や技能検定をやっているようです。
日本司法通訳士連合会とは – JLIA 一般社団法人 日本司法通訳士連合会