ビジネスラウンドテーブル
2019年8月20日の日経夕刊に米経済界が株主第一を見直し、従業員配慮などを宣言したという記事がありました。
米経済界「株主第一主義」見直し 従業員配慮を宣言 :日本経済新聞
- 米主要企業の経営者団体のビジネス・ラウンドテーブルが宣言
- 全利害関係者への約束
- 顧客:顧客の期待に応えてきた伝統を前進させる
- 従業員:公平な報酬の支払いや福利厚生の提供
- 取引先:規模の大小を問わず、良きパートナーとして扱う
- 地域社会:持続可能な事業運営で、環境を保護する
- 株主:長期的な株主価値の創造に取り組み
- 株主利益の尊重は、5番目に
- 1978年から定期的にコーポレートガバナンス原則を公表
- 1997年からは「企業は主に株主のために存在する」と明記
- 行動原則のに見直しは、従業員や地域社会への投資継続を約束するもの
- 米経済界への国民の批判をかわす狙いもありそう
- 1980年代から2000年前後に生まれたミレニアル世代は、会社の主な目的を利益追求よりも社会貢献と考えている
- 日本の経営思想に近いが、日本は株主軽視であり、揺り戻しがあるかは不明
というような内容です。
コメント
ビジネス・ラウンドテーブルとは、コトバンクによると、
アメリカで有名な財界ロビイの一つ。 1972年に設立され,アメリカの主要企業 200のトップが会員となっている。(略)BRはその会員が示すように大企業の利益を代表する。(略)
とあります。日本の経団連のような組織のようです。
50年の歴史のある団体だそうです。1997年というので、22年前からの株主重視が、今は、反対方向に揺れているんだということが良く分かります。
全てのステークホルダーに配慮するというのは、ブランディングの世界では当たり前のように言われており、反対に、株式価値の創造、株主重視などは、ブランドの世界では聞いたことがありません。
ブランド戦略を推進するのは、顧客の創造であったり、従業員のやる気の喚起であったりするためです。利益を上げないと企業の存続ができないので、利益は重要ですが、その利益の配分を株主第一に配分していても、次に続かなければ、結局は株主価値も低下します。長期的に見るか、短期で見るかの違いのような気はします。
また、最近は、より広く、SDGsが主張されています。今回のビジネス・ラウンドテーブルは、通常のステークホルダーへの配慮ですが、今、目標されていることは、より広い内容です。
SDGs(エスディージーズ)とは?17の目標を事例とともに徹底解説 | 一般社団法人イマココラボ
企業の経営目標設定で、SDGsの要素などを入れて、構築するのは当たり前になっている現在、ビジネス・ラウンドテーブルの宣言は、今更感が強いのですが、それでもニュース性があるんだということは、アメリカでは、企業は株主のためのものという考え方がそれだけ浸透していたことの裏返しなのだと思いました。
日本の話ですが、民法から派生して、NPO法人(特定非営利活動法人)など、新しい法人形態が生まれ、株式会社以外のものが社会で積極的な活動を始めています。これらに、既存の株式会社もその影響を受けているかもしれないなという感じがします。