訴状や準備書面のWeb提出が前提
2019年9月4日の日経に、民事裁判の審理を半年以内で追える新制度の導入の記事がありました。
- 予め争点を絞り込んで、短期間で終らせる。7月に最高裁が新制度の原案を提示
- 原告が新制度の利用を申立て、被告が同意した場合、原則6ヶ月で審理を終える
- 訴訟訴状や裁判関係書類がWeb提出が前提
- 長期間の裁判は原告にも被告にも不利益
- 特に企業は早期の決着を望む
- 新制度は短期で集中的に審理。書面の制限、文字数やページ数の統一
- 本人訴訟は除く
とあります。
コメント
日経には絵が載っているのですが、第一回口頭弁論から結審までが、現在平均16ヶ月(1年4ヶ月)なのを、6ヶ月にするという制度のようです。
前提となる裁判のIT化は、日経によると、3段階のステップで、
- Web会議の活用
- オンラインの口頭弁論
- Web上での提訴や記録閲覧
という順に進む予定で、現在は、1.の段階だそうです。この1.~3.をやるだけでも、だいぶ進むのではないかと思います。
それにプラスして、予め争点の絞り込みをするようです。
IT化と、争点の絞り込みで、半年以内を実現するというもののようですが、審理の期間は半年でも、提訴から第1回口頭弁論までと、結審から判決までの時間もありますので、実際にはもう少しかかります。
企業が裁判の利用を活発化するには、期間とコストと中小企業の育成と書きましたが、問題はコストです。
一般には、時間がかかれば、弁護士コストや企業内の管理コストが増えると思いますので、早期に決着がつくと、コストは低減します。
また、現在、裁判所が進めている裁判のIT化は、出張旅費の削減や、訴訟記録の保管などの効率化につながりそうですので、コスト削減できそうです。
特許の電子出願が始まったのは、1990年で世界発の電子出願システムでしたが、世界初ですし、インターネット以前ですので、システムは独自のもので、ISDNを引かないといけないとか、面倒な話が多かったように思います。
それに比べて、今、電子出願をやっている諸外国を見ていると、非常に簡単なWeb版のシステムで、使い勝手も良くなっています。
韓国やシンガポールが、提訴や審理の電子手続き化が進んでいるなら、それを徹底的に勉強して、使いやすい、運営コストの低いものを構築できる可能性があることをように思います。
裁判に関連するリーガルテックも進むでしょうし、全体的に、コストも低くなると思いました。
ちなみに、争点の絞り込みについては、本当に良いのか?という意見もあるようです。そういう視点も必要なんだなと思いました。
2020年2月頃の法制審議会で議論されるとあるので、色んな側面から議論が出てくるのだと思います。