IT担当大臣が「はんこ議連」の会長で話題
2019年10月9日の朝日新聞に、オンライン法人登記に印鑑も活用できるという記事がありました。
- 現在の法人登記で印鑑の届け出は義務
- そのため法人代表者が、印鑑を持参、郵送して登記所へ届ける必要
- 政府は起業を促すためにオンラインで完結するように改める
- 商業登記法の改正で、「印鑑提出なし」としたところ、日本の印章制度・文化を守る会議員連盟(はんこ議連)が反対。IT担当相が、はんこ議連の会長
- 最終的に、法務省は、印鑑届け出をスキャンして、申請書情報と一緒にまとめて送信できるようにする
- 印鑑不要とはせず、印鑑の提出は選択制
とあります。
コメント
会社を設立するときに、同時に印鑑登録を行うため印鑑が必要なようです。
この印鑑を登録するのは、法務局が、提出された法人の変更の書類が、代表者の意思に基づくものかを判断するためのもののようです。
ただ、印鑑証明は、法務局だけで使用されるのではなく、代表者が発行した書類であることを確認する手段として幅広く利用されています。印影も映っていますし、公的機関の発行する書類として、信頼性も高いためです。
しかし、そもそも、法務局は自分のために印鑑登録をやっているだけで、代表者の同一性確認に便利なので、みんなが勝手に活用しているだけのようです。
日本やアジアの一部を除くと、サインですので、印鑑はありません。その替わりにサインがあります。今回のオンライン登記ではサインはどうするのでしょうか?サインでも法務局に登録できるようにするというのではなさそうです。
法務局でサイン登録をすることも、技術的には可能でしょうが、サインは印鑑ほど、同一の印影という訳にはいきません。書くたびに、多少は変化します。
代表者がかわるたびに、法務局のサイン登録を変更するもの大変です。
サインの同一性の認証は、海外では公証人が行っているようです。公証人は印鑑登録よりも高いですので、コストからすると印鑑登録に分があります。
この印鑑とサインの問題ですが、サインにシフトした方が、日本人の「契約力」が上るように思います。どうも、印鑑は、簡易すぎます(シャチハタは特にそうです)。サインするなら、ちゃんと契約書を読む人が増えるのではないかと思います。
その意味で、サインにシフトした方が良いのではないかと思います。
ただ、サインの国でも、どんどん、サインレスが進んでいるように思います。
日常のレターなどは、スキャンしたサインが貼付してあります。
PayPayの認証にサインは必要ありませんでした。替わりにFacebook認証でした。Facebookのアカウントを作るのにサインなどしていません。
サイン、印鑑、IDとPW、生体認証と、同一性認証の手段はいろいろあります。
印鑑はとびぬけて楽な手段ですが、現在のスキャナーなどでは、最も偽造されやすいものでもあります。
そのため、一般社会は、IDとPWや、生体認証にシフトしています。会社の代表者の意思の確認手段も、いつまでも印鑑証明の時代ではないと思うのですが、印鑑は便利なので、当面続くというところしょうか。