1999年発売、スターレットの後継車
2019年10月17日の日経に、トヨタ自動車のヴィッツが、世界で使っているネーミングのヤリスに統一するという
トヨタ、ヴィッツ改め「ヤリス」に 新型で部品・設計を共通化 :日本経済新聞
- 新型車は、2020年2月に発売
- 日本と世界で分けてきた車名「ヴィッツ」と「ヤリス」を統合
- デザインやエンジンを一新。ハイブリッドとガソリン車がある
- 安全機能、追従走行支援機能などを装備
- HVは家庭用コンセントで使える外部給電機能をオプション
- ヴィッツは、1999年登場で、スターレットの後継車
- 2018年の世界販売台数は約33万台。6割強を欧州で販売
とあります。
コメント
ハイブリッドが出てくるようです。これでAQUAとの競争になりそうです。ハイブリッド車は人気で電池の供給が間に合わず、ガソリン車に比べて納車が遅いようです。おそらく、この車もハイブリッドは人気になるように思います。
ハイブリッド車の電源を家庭用コンセントで使えるというのも、いざというときのために、魅力的な仕様です。
さて、この車種は、1999年から、日本と欧州で販売しているようです。
1999年というと、既にグローバルネーミングの必要性が叫ばれていた時期ですが、トヨタは当該市場での受容性を重視して、ネーミングを地域で分けていたことになります。
理由は、二つ考えられます。
一つは、商標登録上の問題です。
もう一つは、意味やイメージの問題です。
商標登録については、今回は、ヤリス(YARIS)に統合されるわけですので、現時点としては問題ないのだと思います。
おそらく、ネーミングイメージの問題の方が、メインだったのだと思います。日本での印象では、ヴィッツは、悪い印象はありませんが、おそらく、海外では悪い印象があったのだと思います。
ネットで見ていると、イギリス英語使用圏では「Vitz」の読みが「Bit(s)」(欠片・小片の意)に聞こえてしまうためという理由や、「ビッチ(尻軽女)」の意味があるなど、いろんな意見が出ています。
また、「ヤリス」は、 日本では言葉の持つ響きがあまり好ましくないとか、「ヤリスギ」に通じるとか、こちらもいろんな意見が出ています。
ネーミング上の問題は、非常に重要です。造語で構わないと思いますが、主要市場のどこでも悪い意味で捉えられないことが重要です。
ここで、注意すべきは、ネーミングの問題はプロの問題であり、あまり現地販売会社の営業等の意見に振り回されないことです。
現地で、独自に、自分達がやりたいことをしたいので、日本初のネーミングに難癖をつけてくることは良くあります。
ここは、客観的に、インターブランド等のブランドコンサルの意見を聞く事をお勧めします。
商標調査のついでに、悪い意味がないか、弁護士・弁理士もコメントがありますが、余程の隠語に該当するようなケースでもないと、弁護士・弁理士はNGとは言いませんし、主に、識別力の有無についての意見と割り切ることが必要です。また、弁護士・弁理士の意見では、現地の営業は満足しません。
この点、インターブランドなどの、バーバルのプロの意見なら、現地の営業もそれ以上は何も言いません。
インターブランドのバーバル担当者を使った、ネーミングのイメージチェックを、どこかの関門で行うことは、非常に良いと思います。
そして、おそらく、ほとんどの企業には、商標の管轄部門はありますが、ネーミングの管轄部門がありません。法的な見地から、判断をする権限は商標担当者にありますが、イメージは放置されています。
ブランドマネジメント担当者でも、商標担当者でも、どちらでも良いのですが、このあたりが協力して、ネーミングイメージ調査をするようにするようになると良いのになと思います。
トヨタは、営業も体力もあるから良いですが、通常の会社ではヴィッツとヤリスが分かれていた20年間は、大きな損失のように思います。
その意味で、この事例は重要なケースではないかと思います。