Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

やさしい日本語

英語公用語ではなく

2019年11月16日の朝日新聞の「けいざい+」で、「やさしい日本語」で社内でのコミュニケーションを円滑にするという話がありました。

記事に出ていたのはメルカリです。メリカリは2013年の設立で急成長しており、東京オフィスのエンジニアのうち外国人が約4割もいるそうです。社員の国籍は40ヵ国を超え、外国人社員とのコミュニケーションの円滑化のために、英語と日本語のトレーナーが5名がいるとあります。

 

メルカリは、社内公用語を英語にするのではなく、日本人に「やさしい日本語」を教えて、何をいわないといけないのかを明確にしてハッキリものを言うなどを指導し、やさしい日本語のトレーニングをしているそうです。

やさしい日本語では、このハッキリものをいうことや、あいまいな表現や敬語は使わないこと、擬態語や擬音語を使わないというに気を付けるようです。

 

また、日本人には「やさしい日本語」を、ネイティブには「やさしい英語」の講座をしているそうです。

会議も英語だけ日本語だけではないとしているそうです。

下手に外国人が一人でもいたら英語というルールよりも良さそうです。

 

「やさしい日本語」は、阪神大震災を契機に始まったようです。Wikipediaによると、

簡易な表現を用いる、文の構造を簡単にする、漢字にふりがなを振るなどして、日本語にに不慣れな外国人にもわかりやすくした日本語である。

とあります。

やさしい日本語 (言語) - Wikipedia

 

やさしい日本語は、旧日本語能力試験3級の日本語(小学3年生の学校文法)程度で理解できるものだそうです。

また、国立国語研究所の調査によれば定住外国人が理解できる外国語は、「日本語」が62.6%だったのに対し、「英語」は44%ということです。日本語でのコミュニケーションの質を上げるのは、メルカリのような先端的な企業だけの話ではなく、社会全体の課題ということが分かります。

 

また、来年のオリンピック・パラリンピックにとっても、「やさしい日本語」は意味があるようです。

「やさしい日本語」について | 2020年オリンピック・パラリンピック大会に向けた 多言語対応協議会ポータルサイト

世界中の言語への対応は無理なので、日本語+英語+ピクトグラムを基本にしているようです。

オリンピック・パラリンピックで活用が期待される「機械翻訳」も、いったん「やさしい日本語」を介することで、意味の通る訳文になるとあります。

 

先日、早稲田大学の応用美術のセミナーに参加したとき、懇親会でブラジル人の弁護士さんと話をしました。非常に流暢な日本語で話をされていたのですが、日本語は、話し言葉ではなく、書き言葉が難しいと言っておられました。

 

やさしい日本語は、災害対応とか、おもてなしのためとか、ミスのない機械翻訳のためとかありますが、本当は、日本語を世界に広めるには、書き言葉も含めて、やさしい日本語にすることも視野に入れる必要があるのではないかと思いました。

 

行政文書や判例なども、昔に比べると格段に読みやすくはなっていますが、まだまだ、誰でも理解できるプレーンジャパニーズにするには、改善の余地はありそうだなと思いました。