Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

はらぺこあおむし

知的財産権の売却

2019年11月7日の日経に、「はらぺこあおむし」の絵本作家、エリック・カールさん(90歳)が、知的財産権を出版社に売却するという記事がありました。

人気絵本の知財売却 「はらぺこあおむし」作者 :日本経済新聞

  • 売却先は、米出版大手のペンギン・ランダムハウス
  • 売却額は明らかになっていない
  • 70冊の作品について、世界で出版する権利、キャラクター商品の権利などを書いとる

とあります。

 

コメント

非常に小さな記事であり、売却額も不明ですが、気になったので書いておきます。確かにこの絵本のあおむしは見たことがあるのですが、この絵本を読んだことはありません。本屋で見たかも知れません。

 

90歳という年齢での売却というところが関心をもった点でしょうか。

 

著作権などは、家族などに相続もでき、残された家族が安定収入を得ることもできます。一方、今、現金化してしまうと、ランニングロイヤルティでの収入を得ることはできません。

 

現金化して、何かに使いたいことがあったのかしれません。何に使いたいのかは、この記事だけでは分かりませんが、慈善活動かもしれませんし、新たな事業なのかもしれません。

90歳という高齢ですが、まだまだ、社会的に活動しようということになります。

 

どちらにしても、日本にまでニュースとして入っていくということは、世界の人も、90歳での知的財産権の売却には驚いたということだと思います。

 

あと、著作権の売却とはせずに、知的財産権の売却とあるのは、商品化権の関係があるためのようです。

著作権の相続は想定の範囲内の話ですが、商品化権は著作権、商標権、不正競争防止法民法などが関連する契約上の概念で、明確な権利があるわけではないので、どのように相続するのか議論になりそうです。

譲渡なら契約譲渡ということでしょうか。

この点は、面白いなと思いました。