Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

TMIがコンサルに変身

監査法人系の法律業務への参入

2019年12月23日の日経に、TMI総合法律事務所が、総合コンサルティング事務所への変身中という記事がありました。

TMI総合、コンサルに変身へ 監査法人系参入に危機感 :日本経済新聞

  • 12月3日にベンチャーキャピタルを設立
  • 第1号は個人データを扱う際のプライバシーとセキュリティに関するコンサル(専門コンサル)
  • 9月には所内コンペでAIを使った契約チェック、内部通報システム構築、社内不正調査など約20件の提案
  • 法律業務を中心とした総合コンサルを目指す
  • 理由は、①弁護士の増加、②大手監査法人の法律業務への参入(EY、PwCが日本で法律事務所)、③データ保護法制やサイバーセキュリティなど課題
  • 監査法人系は、経営、M&A、税務、不正調査といったサービスをそろえる。一方、法律事務所は、株主総会と訴訟に限定
  • 法律業務だけでは事業機会を取り込めない
  • 他の法律事務所もコンサル志向。森・浜田は税理士と弁理士を採用し、税務や知財戦略への関与を強める

というような内容です。

 

コメント

弁理士の業界に、大手法律事務所が参入してきており、弁理士業界も大変だなと思っていたら、その大手法律事務所も監査法人グループとの競争にさらされているというのが、面白いところです。

 

同じ記事に、監査法人系グループの規模は、法律事務所大手(1000名程度)の10倍程度とありますので、まったく規模では太刀打ちできません。

大手法律事務所は、当然、国際的な紛争解決や契約サービスはできますが、企業のニーズが、新たな仕組み作りにあるとすると、そこは不得手です。

 

以前の会社のブランドマネジメントの部署のときに、監査法人系のコンサルティング会社のお世話になっていたことがあります。マッキンゼーのような経営コンサル、インターブランドのようなブランドコンサル、監査法人系のコンサルティング会社、全てにお世話になったことがあります。

そのときの印象でいうと、新たな制度導入しようとしたときなど、監査法人系のコンサルティング会社は、経験が豊富ですので、何かと頼りになるという感じがしました。

 

経営コンサルは概念的過ぎで、ブランドコンサルは目的が限定されており、ちょうど欲しい情報を監査法人系が持っているというイメージです。

 

それはさておき、大手法律事務所でも変わらないといけないということは、特許事務所では更に大きく変わらないといけないということを意味するように思いました。

現在は、弁理士試験の合格者の半数が企業勤務ですし、合格後、特許事務所から企業に入る人も多いようですが、あと10年もすると、その人達が次のステージのことを考えないといけない時期がきます。一方、通常の権利取得の仕事が増える訳ではありません。

 

企業勤務の弁理士は、企業で発生する問題している問題には遭遇していますので、コンサルティングを受けていることも多いのですが、顧客として立場からサービス提供者側に回ることができるかどうかについては、ちょっとハードルがあります。

 

私も、商標管理やブランドマネジメントについて相談を受けることが多く、勤務している事務所の業務で、コンサルのようなことをしていますが、ボリューム的には、まだまだこれからという感じです。