Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

商標担当者になったときに読む本(その16)

電話会議

 

興信所からは、相手方が商標を使用していないという回答はもらっていますが、この調査結果はわずが10日間で仕入れた情報によるものです。どこかで、実際に使用していたりする可能性もあります。

また、不使用で取り消すには時間がかかります。3ヶ月後には製品発売というスケジュールには合いましせん。はやり、同意書・併存契約書を結ぶ必要があります。

 

金に糸目をつけずにライセンスを受けることを目指すいうことも、実際できるものでもありません。

相手の気分を害さないように、しかしスピーディに交渉して、同意書・併存契約書を勝ち取る必要があります。

 

E特許事務所でフランスのG弁護士との電話会議をすることになり、E特許事務所に夕方出張しました。こちらの18:00がフランス時間の10:00です。30分程度、話をする予定です。

 

フランスのG弁護士と電話がつながりました。F弁理士から、興信所からの使用実態調査のレポートを受け取ったことの御礼、相手方が不使用と聞き一安心していること、しかし、クライアントは、これから1ヶ月以内に同意書・併存契約書を締結しないといけないこと、などを説明しました。

 

フランスのG弁護士は、このフランスの会社は、ちゃんと事業をやっている会社で、この会社の前を車で通ったことがあること、相手方の社内弁護士とは、当初こそ、電話連絡が取れたけれども、その後、二三回電話しても進捗がないというだけであり、これ以上督促しても、相手方の気分を害するだけであること。そして、ここはしばらく時間をおいた方が良いと言います。

 

G弁護士、F弁理士ともに、必要国での商標出願を至急行うようにと言います。NGとなったらもったいないで、事業部は渋る可能性があるのですが、絶対に必要だと言います。

 

こちらからは、それほど大きな会社ではないのに、なぜ、検討に時間がかかるか、G弁護士の考えを確認しました。G弁護士は、相手方の会社から聞いた話として、商標問題はCMO(Chief Marketing Officer)が決裁権を持ってるのですが、CMOが最近、変わることになり、新しいCMOが来ないことには判断できないと言います。

大変なことになってきました。

 

OKをもらえるのか、NGか、何れにしても、相手方のCMOがいつ着任するかという不確定なものに左右されます。

 

社内にこの話を持ちかえり、知財部のB部長、A課長に話をしました。

知財部としては、相手方のフランス会社から、1ヶ月後までにOKをもらえないことには、やはり甲商標ではなく、別案で行かざるを得ないということになりました。

B部長は更に上司の役員にも、メールで一報を入れたようです。事業部長から役員に電話連絡が来た場合に、知財担当役員が適切に答えられるようにするためのようです。また、事業部の見切り発車を防ぐためです。

見切り発車されてしまい、相手方からNGの返答があった場合、結局、知財部が間に入って調整をしないといけなくなります。そのようなことがないように、1ヶ月にOKをもらえない限りは、NGという社内の議論の整理をしておくためのようです。

 

このあたり、部長が役員にに、メールでどんどんやり取りしている姿を見ると、特許事務所の中間処理に、数か月後に回答が来るというのとは、スピード感が違うなと思いました。

 

B部長の根回しもあり、1ヶ月後までに、相手方からのOKの返事がくるかどうかが全てということになりました。

 

社内では、事業部の営業担当者から、毎朝毎晩、電話があります。営業の担当者は、何か動きがないか、この商標を使用する予定の商品は重要であることは分かっているとは思うが、なんとかして欲しいと言われます。

こう毎日、朝晩に電話されても、こちらとしても困るのですが、致し方ありません。