最終的に
毎日、毎日、営業部の担当者から電話での督促を受けます。F弁理士経由で、フランスのG弁護士に確認の連絡を入れますが、返答が来るわけではありません。
胃に穴があきそうな日々が過ぎ、あと一週間を残すのみとなりました。連絡が来なければ、別案にする時期です。B部長の判断は正しかったなと思います。
営業部が見切り発車しないように根回しをしてくれたのは、不幸中の幸いです。
そう思っていた矢先、やっとフランスから連絡が来ました。
相手方の会社のCMOが着任して、この話をすることができ、同意書・併存契約を進めることにOKが出たということです。
この3週間の間に、併存契約書案と同意書案は、フランスのG弁護士に作ってもらって、先に検討しており、相手方にも送っていました。
実は、こちらの商標出願は、相手方の会社との交渉を開始する前にしていました。最近、その出願が公開され、相手方はそれも見て、問題ないと最終判断したようです。
3日後、相手方から、少し修正して欲しいという連絡があります。少し、こちらが甲商標を使用できる指定商品の表現が修正されていますが、問題ありません。
対価は無償です。併存契約では、そもそも、両商標をお互いがお互いの分野で使用しても問題がないことを確認しあうものであり、対価は無償が基本です。
もし有償なら、それは商標ライセンスの構成になります。
同意書とライセンスは、考え方が根本的に異なります。
今回は、全世界を対象にした同意書ですので、国によっては、同意書の書面だけではなく、その同意書に公証人の認証や領事認証を要求する場合があります。その費用は、同意書をお願いする方が負担するということになりました。
ここまで進んでいることを、知財部のA課長、B部長、に報告して、併存契約書・同意書への調印日が、1ヶ月を割り込みますが、その点は、問題ないだろうと了承を得ました。
営業部の担当者に連絡をしたところ、電話口でも、非常に喜んでいる様子が分かります。早速、営業部長や事業部長に連絡が入り、営業部長から、知財のB部長に御礼の電話があります。
併存契約書への調印は、知財部のB部長がすることが多いのですが、この件は、知財部の役員がすることになりました。
案件の重要性で、誰が契約書に署名するか、決めているようです。
B部長は、Witnessの欄にサインしました。
こちらのサインを先に行い、先行権利をもっている相手方に送ります。1週間後に相手方から、サイン済み書類が、まずはPDFで送られてきました。契約完了です。
今回は、1ヶ月という非常に短い時間でしたが、通常は、半年程度を見ておいた方が良いと思いました。
また、こちらの出願を先にやっていてよかったなと思いました。