Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

商標担当者になったときに読む本(その18)

同意書と被許諾とライセンス

今回、欧米の同意書・併存契約書の締結をやってみて、これが商標の王道だなと感じました。

 

国内では、不使用のペットネームについては、商標権を持っている人に許諾を受けて商標を使用することがあります。

これは、許諾することもあれば、被許諾を受けることもある、業界内の内輪の商標権の融通のようなものです。今回、許諾しておけば、次回被許諾を受けることができます。

これをライセンスと捉えることは、間違いです。日本の許諾・被許諾はライセンスではあり

形式的にライセンスの形をとっていますが、実質は業界毎の商標流通の一形態に過ぎません。

この融通制度の問題点は、グローバル化に適していないことです。日本企業が海外に商標出願するとすると、マドリッドプロトコル(マドプロ)による国際登録を利用するのが、費用効果や経理管理の円滑化が期待できますが、マドプロの利用は日本に権利があることが前提になります。

マドプロでは、日本に権利がないことには、世界で権利を取得できません。

許諾被許諾では、権利者にはなれませんので、いくら事業で成功しても、頑張っても、もともと、グローバル商標にはなりません。

 

また、許諾被許諾は、商標権を沢山もっている既存の大企業同士の融通制度ですので、スタートアップには関係ありません。

 

世界で標準的な同意書制度を導入していない、日本の商標制度は異端だなということを感じました。

 

また、ライセンスは、親子関係やグループ間で行ったり、フランチャイズであったり、技術ブランディングであったり、商品やサービスの品質管理を中心にした契約をベースにまとまっているものであり、日本の許諾被許諾は、ラインセンスでもないなと思いました。

 

日本の許諾被許諾は、同意書制度の亜流に過ぎないので、早く同意書制度が日本でも導入されないかと思いました。

 

営業部でも国内営業の人や、国内宣伝の人は、商標を非常に軽く考えているように思います。抵触する商標権があったら、「買ってくる」と簡単に言います。この買ってくるというのは、被許諾のことです。

100万円程度で商標を買ってくるという発想が、日本の商標が活性化しない理由だと思います。

 

一方、海外営業の人は、グローバル商標を作ることの大変さを感じています。

今回は、ブランドコンサルティング会社も入り、海外で通用するネーミングになっていますので、期待がもてます。

 

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調査までで、18回になってしまいました。

商標調査は、企業の商標担当者としては、依頼者である営業部門などとの接点になるものです。

 

他に、催告を受けたとき(被催告)と模倣品対策時が、営業部門と一番接点のあるときでしょうか。

 

経営企画的な面では、ブランドライセンスは避けて通れません。

 

そして、商標部門が中心で行わないといけないのが、ハウスマーク・コーポレートブランドの権利取得でしょうか。

これらに関係するものとし、商標取得維持の基準、異議申立の基準、商標ライセンス基準などがあります。

 

社内ルールとしては、上記の他、子会社や海外で生まれた商標の名義の問題、商標案を知財部に報告して知財部で権利取得をするための全社規程の整備なども重要です。

 

少し、拡張するなら、社名の基準は企業のグループ管理的には、商標以上に重要です。

 

そして、最後に、狭義の商標管理である商標事務管理があるというところでしょうか。

 

少し拡張すると、ブランド体系、ネーミングや、How to Useを商標管理に入れることができます。