Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

任期付き商標審査官

合格者は10名

昨年から話題になっていた、任期付き商標審査官の最終合格者の発表があったようです。

任期付商標審査官(補)採用 最終試験合格発表 | 経済産業省 特許庁

合計10名の合格者とあります。

 

もともと、27名の募集と聞いていました。それが12月の予算の段階で、18人の予算になったという話がありました。

https://www.jpo.go.jp/system/laws/sesaku/yosan/document/yosanan/2020_chizai_yosan.pdf

 

そして、最終合格は10名のようです。

 

応募者数が期待したほどなかったのか、特許庁が試験の合格レベルを高くしたのか、原因は良くかわりませんが、商標の審査が遅くなっているのをリカバーする方法として、期待があっただけに、すこし残念な数字です。

 

周知徹底が不足しているという訳でもないでしょうし、なぜ、10名になってしまったのかは、良く分析しないといけない課題であるように思いました。

 

任期付き審査官も、審査官と仕事に差はなく、一度更新があれば、弁理士資格も取得できるという面はあります。

しかし、人から聞いた話なのですが、任期付きの審査官は、審判官にはなれないと聞きます。商標では、審判事件も多いので、将来的にみても、審判ができないとすると夢がないのかもしれません。

 

20年ほど前に、香港に2ヶ月間長期出張して、商標業務が得意な法律事務所で勉強させてもらったのですが、その時、裁判所での知財事件傍聴や、特許局(知的財産局)のヒアリングに参加させてもらった経験があります。

 

裁判所の裁判官も、特許局の上席の審査官も、インド系の人でした。

特許局では、下に若い女性の審査官がいたのですが、彼女と研修先の事務所の女性弁護士が、論争をしていました。最後は、インド系の男性上席審査官が判断を下していました。

 

事務所への帰りに、事務所の女性弁護士がいうには、彼女はもともと同じ法律事務所にいた元同僚ということでした。

この女性審査官、非常に役人のようで、民間の弁護士と特許局の役人は違うなと思ったのですが、元同じ事務所の弁護士とは知りませんでした。

 

法律事務所は、優秀な弁護士を毎年採用するのですが、見習い弁護士から弁護士となるときにハードルがあり、次に弁護士からパートナーになるのにハードルがあり、徐々に人が淘汰されるシステムになっています。

特許局に行った方は、どちらかというと民間の事務所よりは、特許局に行った方が似合っているかなという雰囲気の方でしたので、自分の進路を決めたということなのだと思いました。

 

当時、香港の審査官の女性を見て、日本の弁理士にも、このような線路変更ができる複数路線があると良いなと思いました。

 

先ほどの予算の発表資料を見ると、特許の任期付き審査官の数は496人(継続)、商標は18名(新規)とあります。

特許の任期付き審査官は相当数になっているんだなと思いました。