ミスミの「デジタルものづくり」
2020年1月23日の日経に、部品商社のミスミの納期が、昔は2週間かかっていたものが3日になり、売上も4年間で6割増収になっているという記事がありました。
ミスミ、AIで納期革命 加工見積もりを自動化 :日本経済新聞
- 板金や金属加工部品の納期を短縮
- 使用の調整や相見積もりに時間
- ミスミは、2016年に「メヴィー」を開発
- AIが図面を解析。数秒で見積額を出す
- スピードは競争力に直結
- もともと商社として部品の販売価格を正確に把握
- 精密金型部品メーカーを統合。メーカーとして適切な材料や加工コストも把握
- 2つのノウハウを組み合わせてAIを開発。見積もりと発注が可能な「メヴィー」が実現
コメント
日経の記事によると、2000年に売上高500億円というのが、現在、3000億円を超えているようです。AIシステムの「メヴィー」は、直近4年の売上貢献には貢献が大きいのでしょうが、それ以外の精密金型部品メーカーの統合や「デジタルものづくり」の考え方が重要なようです。
それにしても、1日20万件という部品発注を処理するのは、人間ではできないなと思いました。
さて、注目したのは、見積もりです。
相見積もりで安いところに発注するということになるのだともいますが、予想価格を事前に経理決裁するために見積もりが必要な会社もあるようです。
見積もりは業務委託や発注の前段階ですので、通常は無償です。
外国商標の見積もりについての話ですが、昔、商標管理をしていたときは、15年も前なので今とは違うのですが、事業部から要請を受けて、特許事務所に見積もりを依頼しても、案外バクっとした見積もりだったのですが、現在ではより精密な見積もりが求められるようです。
海外に、詳細条件を提示して聞いても、正確に見積もりを出してくれる国もあれば、標準的な見積もりだけを提示する代理人もおり、その場合、最終金額に差がでます。
一度に数十カ国出願するようなケースでは、プラスマイナスがあり、総額があまり変わらないこともありますが、少ない場合は見積もり金額と違う金額になることがあります。
これを避けるには、海外の代理人に確認するだけではなく、ファイルで同種案件を見て金額を補正する必要があります。海外に聞くことも、ファイルを確認することも、相当に人件費のかかる作業です。これを、無償というのは、無理があります。
海外で見積は有償という事務所があるのも、このあたりの手間を考えてのことだと思います。
出願依頼前提のお客さんは問題ないのですが、そうではないお客さんの相見積もりのときは、仕事が来ないことがあるので、ここは赤になる可能性があります。
また、一元さんのお客さんで、見積もりだけ依頼して、結論がどうだったかの連絡も来ない会社もあります。これは、見積もりが簡単にできると考えておられることが原因と思いますが、現地代理人に聞くとしても、ファイルを見るとしても、データベースから判断するとしても、相当なコストがかかっていることを知っていただく必要があります。
ミスミのようなAIシステムがあるというのはうらやましい限りです。これはミスミがデータを蓄積して作り上げたものなので、簡単にできるものではない思いますが、凄いなと思いました。