Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

商標拳のビデオ

本当の理由は?

特許庁のサイトで、「商標拳」というビデオを流しています。

【無双おじさん】「商標拳」 ~ビジネスを守る奥義~ |経済産業省 特許庁

YouTubeSNSで拡散することを狙ったビデオです。

 

「商標権」は、模倣品対策の役に立っている有用な権利ですよと、教えてくれています。カンフー映画のような、CMのようなビデオであり、相当、お金がかかっています。

 

経済産業省のWebサイトに、この動画の趣旨が記載されていました。

デザイン経営のプロジェクトの国内サービス・ブランディングチームは、中小企業ヒアリングを通じて、商標権にまで手が回らない者や無関心な者もおり、それらの方々に対して積極的なアプローチができていないことが大きな課題となっていることを確認しました。

そこで、それらの方々に対して、「商標権はビジネスの基本」、「商標権を知らずにビジネスをすることは経営上の大きなリスク」というメッセージを普及させることを目指し、動画及び特設サイトを公開します。

また、情報として、

国内の中小企業数は、およそ358万と全企業数の99.7%以上を占めるが、その内、2018年に商標出願した中小企業は約3万者と、わずか0.8%。

 とあります。

 

中小企業の人は、「商標」というものを知らないので、商標制度の啓発をしようという趣旨なのでしょうか?

私見ですが、中小企業に限らず、「商標」という言葉が30年前に比べて、認知が下がっているのではないかと思っています。

 

昔は、コカ・コーラのビンの「登録商標」の文字や、Ⓡの文字がカッコよかったように思いますが、今や、商標という言葉は、「ブランド」という言葉に負けています。

 

一般の方に、「ショウヒョウ」というと、経理の「証憑」「証票」と勘違いされます。

 

「特許」という言葉自体、一般の人には、「東京特許許可局」の早口言葉で覚える程度です。さらに、今は、「知的財産」「知的財産権」「知財」の時代になり、「特許」という言葉自体、古めかしいように思います。

海外の役所も、「知的財産庁」がほとんどで、「特許庁」はシーラカンスです。

 

ただ、「特許」もそうですが、「商標」という言葉は、それほど古い言葉ではありません。たかだか明治以降の言葉であり、100数十年のものです。

世界的に、Trademarkの登録制度はそれほど古いものではありません。

 

今一度、「商標」という言葉に、脚光を浴びせようというのであれば、賛成です。

 

おそらく、中小企業の人でも、知っている人は、「商標」という言葉は知っています。ただ、中小企業対策というと予算がつくので、理由付けに使っただけだと思います。

 

特許庁にも、早く、このレベルを脱却して、アメリカのUSPTOレベルのビデオを作って欲しいなと思います。

Basic Facts About Trademarks videos | USPTO

 

 シンガポールのIPOS GOを見て欲しいと思います。

https://www.ipos.gov.sg/e-services/