Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

故団藤氏の資料

龍谷大が10万点を保存

2020年2月21日の日経夕刊で、故団藤重光元最高裁判事の書籍や記録などの遺品を、龍谷大がデジタル化などをしているという記事がありました。

元最高裁判事 故団藤氏の資料、次世代に 龍谷大保存、メモなど10万点 1枚ずつカメラで撮影 :日本経済新聞

  • 18の電動式書架に、記録、雑誌、新聞の切り抜き、自ら撮った写真、メモ帳など
  • 団藤氏の生前に、夫人の遠縁の龍谷大教授が寄贈受け
  • 最高裁判事時代の事件の記録(個人の意見を付したものを中心に60件)
  • 峰山事件などの手書き原稿などがある
  • 2月29日に研究内容を一冊の書籍として刊行

などです。

 

コメント

さすが団藤先生の資料となると、膨大な数だなと思いました。この18の電動書架すべてが書籍でもすごいボリュームなのですが、新聞の記事には書籍のことが触れられていません。

書籍は目録は作ったら良いはずです。図書館に替りの本があるようなものはデジタル資料化する必要もないので、デジタル化の作業をやっているのは書籍以外と思います。

 

自宅にメモなどが残っているとして、大学教授時代のものは問題ないと思います。

しかし、最高裁の裁判官だったときの資料が自宅で発見されたという点については、今の時代はどうなるのかなと思いました。

 

民間企業では、どんどん情報セキュリティが厳しくなり、私物は持ちかえれると思いますが、仕事関係のものはおそらく置いておくか、処分するように言われるように思います。

折角の成果物であり、思考の経過が見えるものですので、自宅に持ち帰りたいと言ったとき、現代の企業の感覚では、許してくれないのではないかなという気がします。

社外に会社の情報が漏れることを嫌がるということです。

 

現代の裁判官も、情報セキュリティが厳しくなり、自宅に仕事のメモを持ち帰るなと言われているのでしょうか?

訴訟自体に関するものは、基本的には公式の記録で残っているのでしょうが、メモなどは処分するように言われているのではないでしょうか。

 

しかし、最高裁判事のメモなら、国会議事録などと同じように社会にとって有用であり、他にかえがたい価値がありそうです。価値があるものを処分せよというもの変な話です。

現代でも、価値のあるものは大人の判断でOKとすべきだろうと思います。

 

NHKのドキュメンタリーで、戦前戦後の重要な資料が出てきたと言って番組になったりしていますが、これも本来は処分されるはずのものが誰かが大切に保管して、今、やっと日の目を見たということだと思います。

 

ほとんど社会に影響のない情報は処分しても良いが、社会に影響を与えそうなものは保存する方が正しいように思えてきました。

過度な情報セキュリティ(企業秘密の保護)は、ある意味で社会の発展を阻害する可能性もありそうです。