Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

民事裁判記録の保存

東京地裁が保存指針

2020年2月20日の日経に、憲法裁判の記録が多数廃棄されていた問題で、東京地裁が保存についての運営要領を公表したという記事ありました。

(関連)

民事裁判記録、判例集掲載は永久保存 東京地裁が指針 :日本経済新聞

  • 最高裁判例集に載った、主要日刊紙2誌以上に判決が掲載した、担当裁判官の所属する部からの申し出があった、ものは地裁所長が保存認定
  • 保存するとなると永久保存。年間100件程度の予定
  • 全国の他の裁判所の運用に影響を与える
  • 現在のルールは、民事裁判の確定後(終了後)5年で廃棄、重要な記録は特別保存(事実上の永久保存)
  • しかし、多くの記録は廃棄。東京地裁で現在特別保存されていたのは11件のみ

とあります。

 

電子版にはもう少し情報があり、

などとあります。

 

コメント

先日の故団藤さんのメモが重要という話がありましたが、公式記録は裁判所に残っていると思っていました。しかし、その保管状況には課題がありそうです。

これは地裁の話であり、高裁や最高裁の保存はどうなっているのかなと思いました。

 

裁判所では、書類のままで保存しているのだと思います。裁判所に置いておくにしても、裁判所の書庫には限りがありますし、倉庫業者の倉庫に段ボール箱に入れて置いておくしかないのではないでしょうか。

裁判所の書庫にあれば、たまには閲覧することもあるのだろうと思いますが、倉庫に入ってしまうともう閲覧することは困難です。

研究者が研究のために閲覧するぐらいしか、閲覧することもいないように思います。

 

昔の紙の時代は別として、特許や商標のように電子化されていれば、後々検索もできますので、利用されることもあるかと思います。

過去の裁判記録は、今回の東京地裁の保存指針のように保存するしかないと思いますが、今後のものを考えると、早く電子化すべきではないでしょうか。

 

裁判所も電子化に取り組んでいるという話は聞くのですが、スピードがゆっくりしているように思います。

これまで紙の記録でやってきたので、簡単には風土は変えられないという感じなのでしょうか。

あるいは、予算の問題が大きいのかもしれません。特許庁経産省傘下なので、やはり予算が潤沢で、裁判所にはそれほどの予算がないのかもしれせん。

 

もう一つあるとすると、特許庁には技術者が沢山いるので、コンピュータを使うなどして、技術的視点で解決しようとするのですが、裁判所は法律専門家で、文科系の集まりであり、技術が得意でないという点があるのかもしれません。