2020年2月29日の日経に、音楽教室を運営する約250事業者が、JASRACに著作権使用料の徴収権限がないことの確認を求めた訴訟の判決が、28日にあった旨の記事がありました。
JASRACの著作権料徴収認める 東京地裁、音楽教室敗訴 :日本経済新聞
- 判決は教室側の主張を退け、使用料は徴集できると判断
- 音楽教室側は控訴。レッスン時の演奏にまで使用料を徴収すると音楽文化の発展を阻害
- JASRACは2018年から音楽教室に対して徴収開始
- 申し込めば誰でも受講できることから、生徒は不特定多数の「公衆」にあたるとして著作権使用料を徴収できるとした
- JASRACの使用料は年間契約で受講料収入の最大2.5%
- 1月末時点で、全国約770事業のうち、10事業者が契約
コメント
難しい法律的な議論は良く分かりませんが、音楽教室は学校のようなものであり、学校が著作権使用料の対象外であることとの対比で、音楽教室も同じで良いのではないかというのが素直な感想です。
法律解釈的に無理があるとすると、立法措置をして、音楽教室には著作権使用料を徴収しないとしても良いぐらいではないかともいます。
文化庁が立法に協力してくれることはないとしても、議員立法でやれないものでしょうか。
さて、JASRACのWebサイトを見ると、この問題についてのFAQがありました。
楽器教室における演奏等の管理開始について(Q&A) JASRAC
面白いなと思ったのは、
という点です。
約770の事業者が対象というと、少ないなと思ったのですが、個人教室を除くとそのぐらいの数なのかもしれません。
個人教室については、「管理水準が一定のレベルに達するまで管理の対象としないこととしています」とあります。この意味は、将来的には徴集しますよということです。
段階的に徐々に領域を広げていくというのが、JASRACの方法のようです。
JASRACのFAQによると、楽器メーカーとは2003年から話をしているとあり、これまでも、段階的に対象を広げているとあります。
2011年4月からフィットネスクラブ
2012年4月からカルチャーセンター
2015年4月から社交ダンス以外のダンス教授所 (社交ダンス教授所は1971年から)
2016年4月からカラオケ教室、ボーカルレッスンを含む歌謡教室
徐々に広がっているのが分かります。また、すべてが4月スタートなんですね。役所のようです。
音楽教室も、昔はクラシック系のものがほとんどだったように思いますが、最近は著作権のある現代の曲を教えるところが増えていることが背景にあるのかもしれません。
「大人の音楽教室」などでは、数曲、人気の曲が引けるようになることを目的としているようなところもあるように思います。
そんなところは分かるような気もしますが、子供に音楽を教えるところは、営利もあるでしょうが、教育目的もあるような気もします。
今後、上級審に行って裁判は続くようですが、このまま確定するとすると、クラシックだけで構成する音楽教室というのも考えないといけないかもしれません。