Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

公正取引委員会の報告書

グルメサイトの順位

2020年3月19日の朝日新聞公正取引委員会が、グルメサイトの表示順位や評点についての実態調査をし、その報告書を出したという記事がありました。

 

飲食店と加盟店という言葉があります。次のような内容ようです。

  • 飲食店の57%がグルメサイトの影響が大きいと回答
  • 加盟店(掲載手数料を支払っている飲食店)の約92%が順位を上昇させたい
  • 加盟店の約32%が順位に不満
  • 多くのサイトは加盟店でも、高額な手数料を支払うプランの店を上位で表示
  • 同じプランの場合は、独自のアルゴリズムで順位決定
  • 合理的な理由なく意図的にアルゴリズムを設定すると独禁法違反のおそれ
  • 公取は、順位を決定する要素について、飲食店や消費者に可能な限り明らかにするようにし、透明性を高めるように求めた

コメント

公正取引員会から報告書が出ています。

(令和2年3月18日)飲食店ポータルサイトに関する取引実態調査について:公正取引委員会

グルメサイトの話は、消費者や飲食店からの苦情がベースになっているのだと思いますが、公正取引委員会としてはデジタル・プラットフォーマーへの対応を考えているところであり、それに即したテーマという面もあるようです。

 

調査対象ですが、

1 アンケート調査
(1) 飲食店ポータルサイト17名(回答者数16名。回収率約94%)に対して実施。
(2) 全国の飲食店から抽出した飲食店13,000店(回答者数1,091名。回収率約8%),飲食店ポータルサイトに掲載されている飲食店から抽出した飲食店8,000名(回答者数491名。回収率約6%)に対して実施。
(3) 飲食店ポータルサイトを利用している消費者10,000名に対して実施。

ヒアリング調査
46名(飲食店ポータルサイト17名,飲食店及び営業代理店24名,予約管理システム提供事業者5名)に対して実施。

とあります。サイトや消費者は良いのですが、飲食店の回収率は相当低いなと思いました。回答を躊躇していることが窺えます。

 

アンケート調査と別にヒアリング調査をしていますが、飲食店及び営業代理店24名とあります。営業代理店は飲食店側なのだとは思いますが、実際の飲食店はどれほど協力したのかなと思いました。(営業代理人はサイトと飲食店をつなぐ人だと思いますので、業界の実態は良く分かっていると思います。)

 

消費者へのアンケート調査は10,000人のアンケートですので、相当立派なものです。

 

消費者の視点、飲食店側の不満については、アルゴリズムの問題があり、このあたりがデジタル・プラットフォーマーの話と共通します。

 

各論の論点としては、各サイトとも、予約システム用に、お店に一定の座席を確保するよう要請しているようですが、これがサイト毎に入力が必要なようであり、そにれ対応するために複数のサイトを横断する予約管理システム業者というものがあるようです。

ただ、この連携を遮断しようとするサイトもあり、そこについてはメスが入っている感じです。

 

また、検索ポータル経由で、グルメサイトを使う人が多く、検索ポータルが自社でグルメサイトを運用する場合に、問題になる可能性があるようです。

 

社会的にも関心のある内容ですので、良い調査だったんではないでしょうか。