Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

国際特許出願の件数

中国が初の首位

2020年4月8日の日経に、国際特許出願の出願件数で、中国が米国を抜いて、初めての首位となったという記事がありました。

国際特許出願、中国が初の首位 米を逆転 (写真=ロイター) :日本経済新聞

 

  • 全体の出願件数は、5%増の26万5800件で過去最多
  • 5GやAIなど、デジタル通信、コンピュータ技術が目立つ
  • 出願件数の52%がアジアから。欧州と北米はそれぞれ23%
  • 米国は、1978年以来首位だったが、今回は2位に後退。日本は3位のまま
  • 中国は11%増の5万8990件。米国は3%増の5万7840件。日本は6%増の5万2660件
  • 技術革新の東アジアシフト
  • 上位50社中、6割以上が中国、日本、韓国企業
  • 個別企業では、ファーウェイが3年連続1位
  1. 華為技術(ファーウェイ)ー中国
  2. 三菱電機ー日本
  3. サムスン電子ー韓国
  4. クアルコムー米国
  5. OPPO(オッポ)ー中国
  6. 京東方科技集団(BOE)-中国
  7. エリクソンスウェーデン
  8. 平安科技ー中国
  9. ボッシュードイツ
  10. LG電子ー韓国

とあります。日本企業でトップテンに入ったのは、三菱電機だけです。

 

コメント

WIPOのサイトに元ネタがあります。

https://www.wipo.int/pressroom/en/articles/2020/article_0005.html

 

日経には、2000年からのグラフもあります。日本は安定的に、相当頑張って、PCT出願をしていることが分かりますが、2009年からの中国のPCT出願の伸びは、急角度です。日本が2000年から45度の角度で着実に件数を伸ばしていますが、中国は2009年から60度の角度で件数を伸ばしています。

 

この調子をいつまで続けるのかなという感じがします。これは、国際特許出願ですので、登録になった件数や指定国の内訳、技術自体の質などを入れると、どうなのかは分かりませんが、出願数はすべて基本ですので、無視はできないものです。

 

よくいわれるように、中国の補助金のようなものの効果もあるでしょうし、世界に留学していたメンバーが中国に戻って中国企業の社員となって出願をしているのかもしれません。

 

今回のコロナウイルスは、中国がスタートでしたが、日米欧も大変になっていますので、条件は同じと考えると、来年以降も、この傾向は続きそうです。

 

トップテンを見ていると、米国企業はクアルコムだけです。欧州はエリクソンボッシュと2社あるのに比べても、少ないなと思います。

米国には、GAFAマイクロソフト、アップル、その他、力のある会社が沢山あると思いますので、トップテンに1社というのは、意外な感じもします。

 

米国企業は、質の高い発明を、厳選して出しているような気はします。また、米国や日本は、出願人の裾野が広いのではないかと思います。それに比べると、中国や韓国は、国際特許出願は特定の企業に集中しているように見えます。

 

世界の特許制度自体は、審査の一元化の方向に進んでいますが、そうなるとPCTは大切です。この中国のPCTの出願件数は、十年ほどすると、相当中国に有利に働くような気がします。