知財管理誌 2020年3月号
知財管理の2020年3月号に掲載されていた「IoTの発展がブランド訴求及び商標管理に及ぼす影響」という論説を読みました。2017年と2018年の商標委員会第2小委員会がまとめられたものです。
大略理解したのは、
- IoTの進展に伴い、ブランドや商標管理で留意点を考察
- IoTには競技のIoTと広義のIoTがある
- 2010年に入り、デバイス等が進化し普及
- モノのコモディティ化、モノからコトへが後押し
- ブランドでは、企業と直接顧客だけではなく、エンドユーザーとの関係なども考慮して設計が必要
- 事例としては、キリンビバレッジのLINEとの協業の事例(Tappinessという自販機のサービス)、GE、コマツなど
- AirBnBのネーミングの秀逸さ
- ブランド作りが、作り手だけのものから、ユーザーとの共創に
- 協業が増えるので、他社ブランドが自社ブランドに影響
- 商標管理では、指定商品・役務の問題
というところでしょうか。
コメント
キリンビバレッジの自販機のTappinessというサービスは、キリンビバレッジの飲料を販売する自販機に、LINEを使ったポイントサービスや、ポイントのLINE上での送付可能になるなどの連携があるもののようです。
自販機には、KIRINのロゴがあり、また、LINEのサービスとの連携を示すために、LINEやLINEのキャラクターがあります。KIRINとLINEだけの閉じたサービスなら、Tappinessという言葉が無くても成立するかもしれません。
云いたいのは、どうもIoTが進むと、ますます企業間の協業が増えるということです。
知財管理誌の論考にはありませんでしたが、商標管理としても、ブランドマネジメントとしても、協業のことをどうするのかは、大きな問題です。
法的には、少なくとも、KIRINの自動販売機にLINEのロゴやキャラクターを使用するのですから、相互に商標使用許諾契約が必要になります。
最近、ドコモが、ドコモポイントというものを訴求しており、アマゾンでも使えますとか言っているのですが、ドコモのサイトを見ると、協業する他社のブランドロゴが多数使われています。
一般論ですが、日本人は非常にルーズなところがあり、営業や事業部門がOKを出したり、ロゴデータを提供したります。
一過性のキャンペーンで3ヶ月で終わるようなものならまだ良いのですが、KIRINの自販機へLINEの表示などは、契約せずに、文書のやり取りでという訳にはいかないレベルです。
もともと、日本のマーケティングの人々は、コラボだとか言って安易に他社との協業の企画をすることが多いですが、この延長で安易に処理しすぎないことが重要ではないかと思いました。
このような他社との協業を、ブランドライセンス契約として考えない人も多いのですが、客観的にも、法律的にも、Quality Controlが要求されるブランドライセンス以外の何ものでもないように思した。(ライセンスフィーは、相互使用許諾ですので、相殺され、双方無償で良いように思います。ここは、税務マターですね。)