有効か?
最近の新型コロナウイルスの感染防止のためのテレワーク(在宅勤務)の普及で、お客さんの企業から、書面での報告をPDFでの送付にしてくれという依頼が多くなっています。
各企業の担当者は、原則在宅勤務になっているので、会社に書類を送っても(郵便や宅急便は通常通りですので送付可能です)、肝心の担当者が見ることができないので、PDFでの送付するしかありません。
PDFだけで良いとなると、PDFだけでOKという会社と、PDFと従来通りの紙の郵送と2本立てにして欲しいという会社もあります。
従来からペーパーレスを実施してきた会社は、これまでも紙の報告書ではなくPDFだけでの報告でした。ペーパーレスですので、当然にそうなります。
しかし、今、新型コロナで急遽PDFが必要になった会社は、もともとは、紙のファイルでの管理が基本ですので、急に、PDFのみに切り替えができません。ペーパーレスにするには、それなりのシステム化やルール決めが必要なためです。
そういう意味で、特許事務所には、従来からのペーパーレスの会社でPDFのみの会社、急遽、紙+PDFになった会社が混在しています。
この紙+PDFの会社は、紙出力と郵送という手間があり、更にPDF化と送付という手間があり、2重に手間となっているので、特許事務所の工数をとります。
時代の流れとしては、PDFへの一本化だろうと思いますので、個人的にはこの1年~1年半の新型コロナの収束までの間に、PDFのみになればいいなとは思いっています。
さて、本論ですが、請求書です。従来からのPDFの会社でも、請求書だけは紙で送ってくださいという会社が多くあります。請求書の問題は、電子化、ペーパーレス化のネックです。
今回も、請求書は、ほとんどの会社から紙での発行を求められていますが、中に、特許事務所の考え方として、PDFが原本であれば、PDFだけで結構ですという会社がありました。この話、以前の会社でも聞いたことがあったので、引っかかったので、調べました。
リコーのWebサイトが良くまとまっているようです。
PDFの請求書や見積書は法的に有効か?|リコートレードエコシステムサイト
基本は、「この請求書は正式なもので、内容に問題がないと認識している」なら、PDFだけでも有効とあります。結局、有効性は、紙でのPDFでも変わらないようです。
日本では、1998年に電子帳簿保存法が制定され、国税関連書類(見積書・請求書・領収書など)の電子データによる保存が認められました。さらに2005年4月に施行されたe-文書法により電子帳簿保存法が改正され、紙ベースで保管していた文書や書類を電子ファイルとして保存しても良いということになりました。
ただし、受け手の請求書の保管に、ルールがあるようです。
この電子帳簿保存法を適用するためには、税務署への届出が必要らしく、電子保存を開始する日の3ヶ月前までに多くの書類を提出する必要があるそうです。
大手であれば、この届出はしているのだと思いますが、確認が必要とのことです。
おそらく、上述の会社は、すでにこの電子帳簿保存法の申請はしていると思います。そして、そのPDFの請求書が正式なものであるという点を担保する方法として、PDFが原本ならPDFだけで良いという説明になっているのだと理解しました。
紙の請求書には、押印(角印)がされていることが多いのですが、法的にはこれに意味はないそうです。押印も、正式であることを担保する手段の一つなんだろうとおもいます。
Webシステムで、PDFの請求書発行を行うことで、請求書の真正性が担保されやすくなるという面もあるそうです。確かに、現状のシステムでは、紙の請求書を打ち出して、それをPDF化して、送付するのは工数がかかります(どうも、この紙をPDF化したものでも、それを原本と考えるなら、紙ではなくPDFが原本になるようです)。
海外からの請求書は、中国など一部を除き、ほとんどPDFです。この時代、紙の請求書を求めることを止めないといけないと思います。社会全体が一定の方向に舵を切るなら、良いタイミングです。
電子報告(電子納品)、電子契約(電子署名)、電子請求書(PDFの請求書)とやらないといけないことは沢山ありそうです。