Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

五輪紋章をコロナで風刺

日本外国特派員協会の4月号の表紙

2020年5月16日の朝日新聞夕刊に、日本外国特派員協会の会員向けの月刊誌の4月号の表紙の話題がありました。

東京五輪の大会エンブレムを、新型コロナウイルスに見立て、新型コロナウイルス風に少しデザインを変えたものを表紙のデザインにしています。

  • 4月号は新型コロナの特集
  • 新型コロナを意味する「COVID-19 」の文字がデザインの下に記されている
  • 大会組織委員会は「大会エンブレムと新型コロナウイルスがあたかも関連しているようにデザインされ、遺憾」とコメント

 

コメント

デザインを見ないことには、はじまりませんので、朝日新聞外国特派員協会のサイトでご確認ください。

http://www.fccj.or.jp/number-1-shimbun/itemlist/category/217.html

 

東京五輪エンブレムは、パネルの置く位置を変えたりできるという話があったように思いますが、それにしても、端っこをカタカナの「エ」のようなパネルにするだけで、コロナウイルスの形になるんだなと思いました。

 

会員向け雑誌の表紙のデザインです。東京五輪の大会エンブレムは「雑誌」に商標権もあるでしょうが、このデザインが、商品・役務の出所を示すものとしての商標としての使用かというとそうではないと思います。

基本は、著作権の問題として、パロディの限界のような話です。

 

著作権侵害の成立には、通常は、著作物性、依拠性、類似性などが、要件として問題になりますが、これらは問題なくありそうです。

問題は、今回のものは、パロディとして認められるものか、どうかという点ですね。

 

外国特派員協会の感覚では、この程度のパロディは許されるということなんでしょうが、日本人では東京五輪を楽しみにしている人が多いだけに(1年の延長で良かったのかどうかは分かりませんが)、日本人にとってはあまり気持ちの良いものではないように思います。

 

大会組織委員会も、遺憾の意は表明しているようですが、まだ、裁判などの法的な争いにはなっていないようです。

もう出てしまったものですので今更回収しても仕方ないですし、裁判で可能なのは、損害賠償や、著作者人格権(同一性保持権侵害)での名誉回復措置というところです。どちらかというと名誉回復措置の方が重要だとは思いますが、元著作者の意図は不明です。

 

勝手な想像ですが、大会組織委員会側も、日本外国特派員協会という表現の自由を重視する機関に対して、そこまでしないような気がします。

もし、裁判に勝っても、何度もこのニュースが出てくること自体、好ましくないと考えるのではないでしょうか。

あまり追及せずに、手仕舞いに向かうではないかと思いました。

 

東京五輪エンブレムは、出だしからですが、さすがに色々な問題が出てきますね。

 

※ Yahoo Japan!のニュース欄で、サンケイスポーツの記事が紹介されていました。大会を目指してしているアスリートへの配慮に欠ける、誠に遺憾として、口頭で取り下げを求めたが文書での提出を求められて、文書を提出したとあります。 

 大会組織委員会は、動いているようです。 

組織委が外国特派員協会に抗議 コロナ模したエンブレムで 東京五輪 - スポーツ - SANSPO.COM(サンスポ)

 

※※ 2020年5月21日の朝日新聞(電子版)で、外国特派員協会がこのデザインを取り下げた(Webサイトから削除)という記事がありました。

フランス法アメリカ法の紹介があり、海外ではにパロディであり著作権侵害にならないとあります。

外国人記者からの取り下げるべきではなかったという声、国際社会の笑いものになる、日本の弁護士の別著作物になり著作権侵害にならない可能性がある、日本の最近の学説では引用としてパロディが認めらりる、という話などが掲載されていました。

 

最後の意見は、