Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

裁判手続きのWeb会議

訴訟ウェブ会議が2.6倍に

2020年5月13日の日経に、訴訟Web会議が2.6倍に広がったという記事がありました。

「訴訟ウェブ会議」2.6倍、3月346件 裁判所・弁護士事務所の争点整理手続き :日本経済新聞

  • スタートした2月は134件。3月は346件
  • 東京地裁など、9裁判所で開始
  • 裁判所と弁護士事務所をつなぎ、民事訴訟の手続き(非公開の争点整理手続き)
  • 3蜜を避けるためにも有効
  • しかし、4月は緊急事態宣言で多くの裁判手続きが中断、実施は少ない
  • 関係者は、緊急事態宣言後、多くの人に利用してい欲しいとコメント

コメント

Web会議の点もありますが、裁判が止まっているという点は、あまり知りませんでした。

日本の場合、緊急事態宣言でも厳しいものではなかったので、会社に行く人もあったり、テレワークを使う人もあったり、色々でしたが、日本の裁判では多くの裁判手続きが中断していたようです。

 

また、このシステムは裁判所と弁護士事務所をつなぐものであり、裁判官や弁護士の自宅をつないでテレワークができるものではないみたいです。

 

裁判所のIT化は、少し前から話題がありました。

ウェブ会議等のITツールを活用した争点整理の運用の開始について | 裁判所

裁判所の民事訴訟手続きの IT 化において Microsoft Teams を採用 - マイクロソフト業界別の記事

民事訴訟手続きのIT化というもので、今回のようなWeb会議はその第一歩のようです。

 

ZOOMではなく、マイクロソフトのオフィス365の「チームス」というソフトを使っているようです。

マイクロソフトのサイトを見ていると、将来的には、訴訟提起、事件管理、法廷も、Web化するようです。

 

裁判所が独自開発した会議用ソフトではなく、マイクロソフトの「チームス」を使っているようですので、今回も、自宅でIT環境を整えることができ、オフィス365を導入すれば、自宅で裁判準備手続きができたのかもしれません。

 

一方、事務管理の電子化は、特許などではだいぶ進んでいますが、裁判所は遅れているようなので、IT化すると一挙に進むのではないかと思いました。

 

問題は法廷です。非公開の裁判準備手続きや和解交渉は、Web会議が有効とは思うのですが、通常の裁判は公開されますので、Web法廷でも公開することになると思います。システム的に公開は可能なのだと思いますが、ここに至るには、裁判所のみならず、傍聴人となる国民に至るまで、認識やITリテラシーの改革が必要であり、もう少し時間がかかるように思いました。