ネット提供
2020年6月8日の日経に、民事判決のネット提供が動き出したという話があります。
民事判決 ネット上で提供 官民で課題検討、23年度にも 企業など活用しやすく :日本経済新聞
- 裁判所は社会的関心が高いと判断したものをウェブに掲載
- 一部は、法律系出版社が当事者から入手して独自に収集し、出版、DB化
- 地裁判決16万6665件で、裁判所ウェブ掲載は44件(0.03%)、ウエストロー・ジャパンは5033件(3.02%)
- 高裁判決2万1814件で、裁判所ウェブ掲載は365件(1.67%)、ウエストローは962件(4.41%)
- 最高裁5112件で、裁判所ウェブ掲載は53件(1.04%)、ウエストローは179件(3.5%)
- 民事訴訟法上は誰でも閲覧可能で、判決の言い渡しは公開の法廷
- しかし、閲覧には事件番号が必要で、コピー不可
- 判決の公開には、人名、法人名、住所などの匿名化が必要
- これを自動的に行い、公開を目指す
というような内容です。
コメント
公開される判例はすべてではないというのは知っていましたが、こんなに少ないとは知りませんでした。
特に地裁の判例は裁判所ウェブには、ほとんど掲載されないんですね。これは驚きました。
特許など、出願公開があるので、何でも公開されます。J-PlatPatを見ていると、出願人 の住所にマスクがされているようですが、その程度です。
明細書の内容自体は、全文が公開されています。
裁判所が、参考になりそうな裁判例を選択して、公開していることになりますが、意図的なものはないとしても、これで良いのかなという気がします。
いままで、この程度の公開情報で、何とか回ってきたのですから、これからも何とか回るのかもしれませんが、これだけIT化が進んだ時代にちょっとなぁという気はします。
匿名化が必要なようですが、これはプライバシーへの配慮でしょうか。
今、裁判所ウェブに掲載されているものは、内容理解ができる程度には当事者の名前なども出ています。すべて、XYZとかになると、却って内容理解ができないように思います。
裁判所ウェブに掲載されている判決を見ていると、当事者名や代理人名は全部出ており、商標なども、出ています。
利益率やお金関係でマスキングし、出ていないものが少しあるかなという感じです。
今、人間がやっているものを止めるのではなく、これはこれで継続してもらい、それ以外の裁判所としては特に先例的意味は少ないというものを、自動的にXYZなどとしてすべて公開するなどとしてもらえると、良いように思いました。