Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

サクマ式ドロップスとサクマドロップス

違う会社だった

家族が「ハルタの靴」を買って、景品でドロップスの缶をもらいました。缶の正面に、大きく「ハルタの靴」とあり、ハルタの靴の写真があり、右下に「サクマドロップス」とあります。

 

のど飴の替わりにと、ドロップスをもらったところ、「サクマドロップス」と「サクマ式ドロップス」は違うものだと聞きました。

えっ、そうなのという感じです。確かに、よく見るドロップスの白と赤の缶は、「サクマ式ドロップス」とあったように思います。

佐久間製菓株式会社 | サクマ式ドロップスの歴史 (sakumaseika.co.jp)

 

佐久間製菓 サクマ式缶ドロップス 75g

佐久間製菓 サクマ式缶ドロップス 75g

  • 発売日: 2016/11/15
  • メディア: 食品&飲料
 

 

登録商標とありますね。

 

J-Plat Patで調べると、商標登録第92242号(大正7年1月23日の出願で、同年3月22日の登録)とあります。当時は、出願から2ヶ月で登録になっていたようです。

権利者は、共有権利で、東京と豊島区の佐久間製菓株式会社と、東京都目黒区のサクマ製菓株式会社となっています。

 

 

ちなみに、上のアマゾンの画像は、サクマ式ドロップスですので、豊島区の佐久間製菓株式会社です。上記のWebサイトと同じ会社です。

 

一方、サクマ製菓株式会社の「サクマドロップス」は、濃い緑色の缶に入っているようです。確かに、この缶も見たことがあります。

缶入りドロップス | 商品情報 | サクマ製菓株式会社 (sakumaseika.com)

 

 

サクマ製菓 S15缶ドロップス 80g×10個
 

 

戦争中、砂糖が入手できなくなり廃業したのち、戦後、筆頭社員が起こした会社が佐久間製菓株式会社で、社長の息子が起こした会社がサクマ製菓株式会社ということです。

詳しいことは分かりませんが、法廷闘争をへて現在の状況に落ち着いているようです。

「サクマ式ドロップス」と「サクマドロップス」の違いは? | 1分で読める!! [ 違いは? ] (lowch.com)

 

Wikipediaには、次のようにあります。

太平洋戦争により砂糖の供給が止まると同社は廃業へ追い込まれ、終戦後、同社で番頭の立場にあった人物が豊島区池袋にて佐久間製菓を興し、1937年から社長を務めた人物の三男が渋谷区恵比寿にてサクマ製菓を興した。この2社が裁判で争った結果、佐久間製菓が「サクマ式ドロップス」の商標を使うことが認められ、サクマ製菓はその社名を名乗ることが認められた。

サクマ式ドロップス - Wikipedia

 

商号と商標のややこしさが出て、解決されたようです。

まあ、まったく問題はないのですが、ただ、違うか会社とは、知りませんでした。

双方とも、ドロップではなく複数形のドロップスなんですね。

金魚電話ボックスの高裁判決

原告が逆転勝訴

2021年1月15日の日経電子版に、奈良県大和郡山市の商店街と福島県いわき市の現代美術作家との間で係争になっていた「金魚電話ボックス」の事件の高裁判決が出たという記事がありました。

判決は、一審とは異なり、原告の現代美術作家の勝訴となり、55万の損害賠償命令が出ています。

「金魚電話ボックス」著作権訴訟、美術作家が逆転勝訴: 日本経済新聞 (nikkei.com)

  • 金魚が電話ボックスの中を泳ぐオブジェ
  • 著作権を侵害で損害賠償などを求めた訴訟
  • 阪高裁は、商店街側に55万円の支払いとオブジェの廃棄を命じた
  • 原告は、水の入った電話ボックス内を金魚が泳ぐ作品を制作。2000年から各地で展示。新聞や雑誌でも取り上げられた
  • 大和郡山市のオブジェは2014年、金魚の産地として有名な大和郡山市柳町商店街に設置され、2018年に撤去
  • 受話器から気泡を出す仕組みがある山本さんの作品には創作性があり、著作物に当たる

コメント

ならまち通信社というサイトが、この件を詳細に調べて、時系列で表にしています。ならまち通信社で検索してもらうとわかります。

 

そこには二審判決の判決文のコピーもあります。現物のPDFなので、非常にリアルです。

 

新聞の写真を見ても良く分からないのですが、両者とも、電話ボックスを水槽にみたてたものであり、実際に水をはり本物の金魚が入っているようです。

特に、電話機の受話器が中に浮いている状態で、そこから気泡が発生しているとあります。

 

電話ボックスを水槽に見立てる点の創作性は高くないが、受話器が中で浮いており、そこから気泡が発生していることと相まって、著作物性があるとしています。

 

あとは、依拠性が分析されて、記の結論となっています。依拠性については、すこし複雑ですが、著作権者の存在を認識したあとの実施例に限定しているようです。

 

ならまち通信社の分析によると、判決に至るまでも、高裁は和解の提案を出しているようですので、和解のチャンスはあったようですが、結局、和解にいたらなかったようです。

 

関心のある方は、ならまち通信社のまとめを、ずっと読んでみると、何か発見があるのではないでしょうか。

 

奈良県大和郡山市は金魚の産地であり、金魚を活用したオブジェを飾りたいということは分かりますので、別の表現方法であっても、オブジェ作ることは続けて欲しいなという気はします。

 金魚ストリート | 郡山柳町商店街協同組合 (yanagimachi-st.jp)

 

サッポロ、ファミリーマート 発売を決定

消費者、ネットの声が反映された

2021年1月8日に、「LAGER」を「LAGAR」と誤記したことを受け、発売中止が発表されていた「サッポロ 開拓使麦仕立て」について、消費者やSNSの声を受け、再度検討の結果、発売されることになったという話です。

 

発売日は、2月2日になるそうです。

【追記あり】スペルミスのビール「サッポロ 開拓使麦酒仕立て」発売中止撤回 「LAGAR」のまま発売へ、広報「異例の展開でした」 : J-CAST ニュース【全文表示】 (j-cast.com)

 

サッポロビール広報部は13日、J-CASTニュースの取材に「異例の展開でした」と率直な思いを語った。消費者からの直接の問い合わせは「かなり多かった」といい、そうした声を受けて両社で協議の上、発売中止の撤回にいたったという。誤表記については店頭販促物で周知する。

 

また、両社からリリースも出ています。

「サッポロ 開拓使麦酒仕立て」発売についてのお知らせ|ファミリーマート|ニュースリリース (family.co.jp)

「サッポロ 開拓使麦酒仕立て」発売についてのお知らせ | ニュースリリース | サッポロビール (sapporobeer.jp)

サッポロビール株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:髙島英也)と株式会社ファミリーマート(本社:東京都港区、代表取締役社長:澤田貴司、以下ファミリーマート)との共同開発商品である「サッポロ 開拓使麦酒仕立て」について、2021年2月2日(火)に発売することを決定いたしましたのでお知らせいたします。

 本商品は、デザインの一部に誤表記があることを理由に発売中止することを1月8日にお知らせいたしましたが、その後、本商品の取扱いを心配される声や、発売を切望する声など多数のご意見が寄せられ、両社にて慎重に検討を重ねた結果、お客様のご意見を真摯に受け止め、発売中止の決定を取り消すことといたしました。

 温かいご意見を頂きましたことに御礼申し上げますとともに、方針変更により多くのお客様にご迷惑をおかけいたしましたことを、心よりお詫び申し上げます。

 

nishiny.hatenablog.com

 

コメント

珍しい展開です。消費者の声、ネットの声が届いたということでも話題です。SNSで、廃棄されるのは、もったいない。環境にも良くないという声があったのは見ていましたが、一旦、決定し公表したことを消費者の声を反映して、変更するというのは、珍しいなと思いました。

 

中止の発表が、1月8日(金)で、再度の発売発表が1月13日(水)です。11日は成人の日で休みですので、稼働日は3日間ぐらいで、実質、1月12日(火)に相談して決めたというスケジュールになります。

相当、スピード感をもって、議論しているなと思います。

 

ひっくり返すなら、早ければ、早いほどいいので、良いタイミングでの判断だったのではないでしょうか。

 

誤表記については、店頭販促物で周知するとあります。

 

下世話な話ですが、ミススペルは修正するのか、このままにして販売し続けるのかが気になります。この騒動で買ってみようという消費者は、相当、多いのではないかと思います。少なくとも食卓の話題にできます。

 

もともと、期間限定、数量限定の商品でしょうから、生産済み分はこのままとして、追加生産が必要になるように思います。

その場合、「LAGAR」を正しい「LAGER」にするのだと思いますが、正しいものは稀少価値がないように思います。

 

そうは言っても、間違ったものを放置することもできませんので、どこかで切り替えが必要です。どのあたりで判断するのか、難しいですね。

GMのロゴ変更

57年ぶり

GMのロゴが57年ぶりに変更になったという話題を見ました。

EV事業への本格参入!?「GM」が57年ぶりにロゴを変更! | TABI LABO (tabi-labo.com)

 

f:id:yoshikeke:20210118045647p:plain

  • 新しいロゴでは、「GM」の文字が小文字に
  • 「m」の文字は電気プラグを連想させるようなデザイン
  • 同社によるEV事業への本格参入の決意表明

とあります。

 

GMのサイトから、ロゴはダウンロードできるようになっています。

ダウンロード時の説明文には、GMの新しいロゴは、GMのお馴染みのブルーのスクエアに、よりモダンで活気に満ちた外観をもたらしながら、強力な伝統に基づいています。このフルカラーのグラデーションロゴは、GMの新しいプライマリーロゴですとあります。

 

General Motorsの文字も、すべて小文字になっています。

General Motors

新しいGMロゴと同じですね。

 

しかし、文章中の「GM」は、大文字のGMであり、小文字のgmではないようです。

 

GMでは同時に、「Everybody In」というキャンペーン(EVシフトのキャンペーン)をしているようで、次にその解説があります。2021年1月15日付のリリースです。

GM to Invest Nearly $800 Million To Convert CAMI into Canada’s First Large-Scale Commercial Electric Vehicle Manufacturing Plant

“Everybody In” ゼロエミッションの未来に向けた新たなメッセージ (gmchina.com)

 

ロゴの特徴は、

新しいGMのロゴは、鮮やかなブルーを基調としたグラデーションが特長で、ゼロエミッションの未来のクリーンな空と「アルティウム」バッテリーシステムのエネルギーを連想させます。丸みを帯びたエッジと小文字のフォントがよりモダンで包括的な雰囲気を醸し出し、「m」の文字に配されたアンダーラインは、従来のGMのロゴを継承していると同時に、「アルティウム」バッテリーシステムを視覚的に表現しています。また、「m」の文字の空白部分は電気プラグの形状を表しています。

 とあります。

 

コメント

このニュースを見て思ったのは、5点です。

  1. EVシフトを宣言した
  2. ワーゲンやBMWのロゴが変更になったが、ついにGMロゴも変更になった
  3. 海外では環境の色はブルー
  4. 小文字やグラデーション
  5. 日本語での解説が...

一つめのEVシフトについては、トヨタ社長が現実解としてのハイブリッドを主張しています。実体が伴っているかどうかは別として、変わった感じはEVシフトを宣言する方にありますので、短期的にはトヨタの旗色が悪くなるのではないかと感じました。ロゴ変更とEVシフトは必ずしも一致する話ではないですが、今回のは、ロゴを変更することで、本気度を示しています。

 

二つめの他社横並びという点ですが、ワーゲン、BMW、日産とロゴを変えていますので、自動車業界がロゴ変更の時期になっているのが鮮明になりました。多くの会社が同じ方向に向いて変わっているのが分かります。

 

三つめは、以前から言われてきたことですが、海外では環境の色はブルーであるという点です。今回の説明ではクリーンな空のブルーとありますが、海のブルーという説明を聞いたこともあります。もともとGMロゴはブルーだったので、ブルーの方がGMと親和性があるという面はあります。

 

四つめは、グラデーションと小文字です。小文字は長期トレンドなので良いとしても、グラデーションは表示が難しい場合があるので、難しい選択をするんだなと思いました。

 

五つめは、米国のニュースリリースの日本語を出しているのですが、中国のGMからということです。これは、GMのアジアの拠点が中国にあるためだろうと思います。これはちょっとショックです。GMにとっては、日本は広報を置く程度の必要もない市場ということなんでしょうか。

 

日経の「メガブランドを作れない優しい日本」

内向きで自己主張が弱いことが原因?

2021年1月17日の日経のThe STYLE(紙面では本誌の一部になっています。電子版は紙面ビューアしかないようです)に、日経の中村直文さん(編集委員論説委員)の記事がありました。日本にメガブランドが育たないのは、内向きで自己主張が弱いことが原因とあります。

日本経済新聞 (nikkei.com)

  • 日本の世界でのプレゼンスが低下。グローバルで通用しない
  • 世界的メガブランドは強力な自己主張があり、他との違いを際立たせる
  • 一方、日本は内向きで自己主張が弱い
  • 欧米は、共有部分が小さいのでメガブランドを生みやすい
  • 人々の間の違いが大きく、簡単に理解し合えない
  • そのため、ブランドが掲げるテーマは広く、必然的に普遍性を帯びる
  • しかも、あらかじめ世界市場を見据えており、グローバルブランドとして育ちやすい
  • 世界に新しい価値をもたらせるか。例えば、しょうゆはステーキソースで価値が出た。ユニクロは日本発で品質の高さを訴求

コメント

正確にこの記事の考え方を理解するのは難しいのですが、赤で書いた部分が、この文章のポイントだろうと思います。自分なりに解釈すると、

  1. 人々の間の違い(差ということだろうと思います)がある社会では、均質なものよりも、違いが重要であり、ブランド(企業と読み替えても良いかもしれません)は、差別化、あるいは、より深いテーマ(思想)の差を持っている。テーマ=差に賛同する人も多く、よって、ブランドとして世界で普遍的に成功しやすい。
  2. まず日本で成功してから、次に海外へというように、日本と海外を分けるような思考方法がなく、はじめから世界市場を見据えており、必然的にグローバルブランドとして育つ。

というように、2つのことを言っています。

1.の点は、考え方ですので基本的なところです。2.は手段系です。

 

1.のテーマの点ですが、

日本発のメガブランドがないかというとそうでもありません。インターブランドランキングのTOP100はメガブランドのお墨付きのようなものですが、100位までに7つ入っています。日本のGDPは現在世界の4-5%程度ですので、7つ入っているのは検討している方という見方もできます。

201020_BGB2020_press (interbrandjapan.com)

 

日本企業も、もう少しグローバル化すれば、TOP100に入るのはドコモ、ユニクロMUFGですが、ユニクロは時間の問題だろうと思います。

GDPで見ると、中国企業がもっと入っていて良いのですが、ここは中国企業がHuawaiなどを除き、グローバル化してないためだろうと思います。

中国企業も今後ますますグローバル化はすると思いますので、世界で受け入れられるブランドになるには、思想、テーマ、基本的な考え方がしっかりしている必要があるのは、中村さんの云う通りです。

 

個性というよりは、差を育てるという、時間のかかる話ですし、日本人の均質意識からすると苦手な部分かもしれません。

 

2.の手段系については、社会の意識の他に、日本の商標制度が内向きなことが大きな課題であり、これは解決可能だろうと思います。

もはや、大正10年法、昭和34年法の、対外キャッチアップ型ではない商標制度に変えないと、井の中の蛙気質が変わりません。

 

まず、手始めに、商標のマドプロの活用しやすい状況を作ることが、国策としても重要ではないでしょうか。同意書制度を早期に開始する、マドプロの電子出願(諸外国ではやっている)をするなど、やれることはありそうです。

 

特許庁は、また、グローバルネーミングの重要性の旗振りをすることもできます。井の中の蛙の日本企業に、広い世界へ至る道を示すことは、特許庁経産省の責務のような気がします。

特許庁経産省には、日本の商標制度をできるだけ外国と合わせていく努力と、外国商標の一層の旗振りが必要なことのように思います。

 

コメ兵の真贋判定

査定システム「AI真贋」、フリマアプリ「カンテ」

2020年1月14日の日経に、コメ兵がデータで真贋を判定し(「AI真贋」)、また、同社のフリマアプリ「カンテ」ではメルカリなどにはないサービスがあるという話題がありました。

コメ兵、データで真贋判定 中古ブランド取引を公正に: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

  • コメ兵は、2020年8月に、店舗に「AI真贋」を導入
  • 生地やロゴなど数ヵ所を撮影
  • 現在はヴィトンのバッグや小物のみであるが、正答率は99%
  • 鑑定士が蓄積した本物、偽物のデータで判定
  • また、システムで、相場も示す
  • 在庫、販売履歴、店頭やコールセンターへの問い合わせ件数、通販サイトのクリック数、中古オークションへの出品数などの需要と供給のデータから
  • 真贋判定と相場査定で、消費者に安心感
  • コメ兵のフリマアプリの「カンテ」では、実物鑑定サービス
  • 買い手が鑑定ありを選ぶと、商品がコメ兵に送付され、コメ兵が真贋を鑑定し、買い手に発送
  • サイトの画像が本物でも、偽物はコメ兵でチェックできる
  • 同サービスでは、取引の1割に偽物と見破った
  • 中国のアリババ系のフリマアプリ「シエンユー」では個人の信用スコアを活用

とあります。

 

コメント

コメ兵の件は、これまでも何回か新聞記事になっており、ブログでも触れてきました。「AI真贋」「カンテ」など、ネーミングもつけており、コメ兵の本気度が分かります。

職業病ですが、「カンテ」はまだしも、「AI真贋」は識別性があるのかなと心配になります。

 nishiny.hatenablog.com

 

さて、今回は、単にAIの真贋判定だけではなく、相場の見える化を通じた消費者の納得感、安心感のようなもので、リユース市場を活性化しようというコメ兵の戦略が良く分かる記事でした。

 

さらに、コメ兵は、フリマアプリもに風穴を開けているようです。フリマアプリは、C to C市場であり、偽物がまぎれる可能性が高いのですが、その取引の間にコメ兵の、リアルな真贋判定のチェックを入れるという方法は思いつきませんでした。

 

アマゾンなどは、出品された商品の画像で、AIで真贋判定するようですが、画像は本物だけれども実際の商品は偽物の場合は、意味をなしません。

コメ兵の方法は、送付や鑑定作業が入るだけコスト高にはなりますが、信頼性は高くなりますので、高額商品はコメ兵方式に軍配が上がります。

 

中国の信用スコアの活用は、方法としては良さそうなのですが、日本では個人情報保護のために難しいのかもしれません。

そうなると、安い商品はアマゾン的に画像でAIで、高い商品はコメ兵的に真贋判定者を間に入れるということになりそうです。

 

新聞記事には、日本の知的財産侵害物品の輸入差止は、2015年から2019年の101万点まで、5割増えているとあります。また、コメ兵のフリマアプリで1割が偽物とあります。

中国製商品は今後も増えますし、ネット通販やフリマアプリなどの新しい流通ルートも、できますので、模倣品は身近な話になってきました。

 

消費者には、ITリテラシーと同様に、模倣品リテラシーを広げる必要がありそうです。

同時通訳のAI

発言途中から即時処理

2021年1月11日の日経に、情報通信研究機構NICT)が同時通訳の研究が進んでいるという記事がありました。リアルタイムの同時通訳が2025年に実現する予定とあります。

同時通訳AIを専門家級に、25年実現へ開発加速: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

このWebサイト上には、NICTの同時通訳のデモがリンクされており、流暢な英語のスピーチを何秒か遅れて、文字(テロップ)と音声合成された日本語での読み上げが続きます。一度、こちらの方を見ていただければ、現在の即時処理の能力が分かります。

このデモについては、日経に、10秒ほど遅れる、翻訳ミスはほとんどなかったという紹介があります。

 

同時通訳には、音声認識があり、次にAI翻訳ソフトが変換することになっているようですが、2019年までの研究で、音声認識は課題がなくなったということです。

そして、2020年からは、翻訳の精度とスピード(2,3秒)を目指すそうです。

 

そのためには、会話をチャンク(意味のかたまり)で区切るそうです。これは同時通訳者も行っていることですが、動詞や否定語が最後にでる、主語が省略されることが多い、という日本語の特性から、あらかじめAIに講演内容のデータを与えて学ばせておくとあります。

 

現在の翻訳エンジンの精度は、900点ぐらいとありますが、世界ではこれをGPT-3というAIで向上させることが今行われているようです。

 

日本のNICTの特徴は、文ではなく、チャンクで区切る手法で、日本語のような動詞が後ろに来る言語は、世界の半分であり、日本語での成功はそれらの言語に応用できるとあります。

 

コメント

機械翻訳が同日通訳をする時代が、4年後に迫っています。オリンピックには間に合いませんでしたが、大阪万博では大活躍するのではないでしょうか。

 

こんなに正確に翻訳してもらえるなら、あまり英語の勉強などしなくても良いという感じもしますが、その翻訳が正しいかどうかは、英語のできる人にしか分からないので、やはり英語を勉強するのは意味があることには変わりないと思いました。

 

NICTは、同時通訳の研究をコンソーシアムを立ち上げて行っているようです。

自動『同時通訳』技術の研究開発コンソーシアムを設立 | NICT-情報通信研究機構

メンバーは、NICTの他は、

とあります。インターグループが協力しているんですね。

 

冒頭の日経のWeb版で紹介されていた、英語のスピーチをする男性は、日本人だと思いますが、非常に流暢に英語を話しています。インターグループの先生なのでしょうか。

こんなに綺麗に英語が話すというのは、叶わない夢ですが、機械翻訳を使ってでも、同日通訳ソフトを使ってでも、何としてもコミュニケーションが取りたいように思います。

 

音声変換は、2019年までに完成したとありますが、おそらく日本語だけではなく、英語など他の言語の音声変換も出来ていると思います。

スマホのアプリで、NICTのVoice Traをダウンロードすると、音声認識のレベルは実感できます。

適当に日本語で話をしても、ちゃんと認識しています。

 

フランス人やドイツ人やインド人の英語は独特ですが、それも認識してくれるのでしょうか?