Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

ADRセミナー

知的財産に関する仲裁・調停(ADR)の活用セミナー

本日、弁理士会館で開催されたADRのセミナーに行ってきました。

講師は山内康伸先生。「ADR」とはAlternative Dispute Resolutionの略で、代替的紛争解決という意味で、日本では「裁判外紛争解決」といわれるもの。商標契約でも仲裁条項を入れることが多く、仲裁という言葉は良くみる。

今日の話の要点は、①仲裁と調停の違い。仲裁は裁判に近いもので、仲裁人が裁判官のような役割を果たすが、調停は当事者の話し合いに調停人が加わり、話し合いにより和解案を探るもの。②調停は、勝ち負けではなくWin-Winの関係を模索するものであり、中小企業などを中心に、もっと調停を活用すべき。③ADRの中でも、仲裁は実際は少なく、調停がほとんど。

日本には、日本知的財産仲裁センター(以下、仲裁センター)というものがあり、日本弁護士連合会と日本弁理士会が母体になり、1998年3月に設立されたものがあり、日本で唯一の知財専門のADR機関ということ。だいたい、弁護士と弁理士がセットになるようです。2003年など、20件超/年の仲裁・調停案件があったようだが、2014年、2015年と5件以下になっている様子。

今回の研修も、制度の利用促進を目指した研修のようだ。また、仲裁センターのADR推進機構は、企業の知財の業界団体である日本知的財産協会にも、アンケートをしたり、意見交換をしたりしているようで、周知徹底をしているようだ。

確かに、裁判に行くと公開が原則になるので、知財紛争があること自体を知られたくないようなケースでは、調停を中心としたADRはもっと活用されてよいと思いました。そのためにも、調停人、仲裁人となる我々弁理士は、これも我々の職務という意識改革が必要だと思います。

ちなみに、仲裁センターは、JPドメインの紛争のパネルにもなっており、こちらはもう少し件数があるのだと思う。