Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

グランドセイコー GS

SEIKO、Grand Seiko、GS

www.grand-seiko.jp

2017年3月23日の日経に、セイコーホールディングスが高級腕時計シリーズの「グランドセイコー(GS)」のブランド力強化に乗り出すという記事がありました。見出しには『セイコー「GS」てこ入れ』とあり、その記事では次のようにありました。引用しますと、

現在は文字盤の12時の位置に「SEIKO」、6時の位置に「GS」のロゴを入れているが、今後は12時に「GS」を置く。24日に限定発売する初代グランドセイコーの復刻版から採用する。

この記事を見て、てっきり「SEIKO」ロゴを外して「GS」ロゴをブランドにするのかと思いましたが、セイコーウォッチ株式会社の翌日24日の広告で見た復刻版には、12時の位置にレトロな文字の「Grand Seiko」の文字がありました。SEIKOの言葉のない「GS」ロゴ単体はないと思っていたので、「Grand Seiko」で少し安心しました。ただ、これは復刻版であり当時のデザインを採用しただけで、今後のグランドセイコーは、GS/Grand Seikoのセットロゴになると思われます。(GSの方が先に記載され大きいので、メインはGSロゴとも見えます。この意味では新聞の表現は正しいようです。)

コメント

SEIKOブランドは、日本ブランドの象徴です。そして、SEIKOブランドの復活は日本ブランドの復活の象徴につながりますので、是非、頑張ってほしいブランドです。
クォーツ時計で一世風靡をおこし、日本の工業製品の機能、性能の高さのシンボルとなったブランドです。海外の高級ラグジュアリーブランドもセイコーシチズンのムーブメントを使っていると聞きます。
しかし、クォーツ時計は陳腐化してしまい、安物時計と機能面での差がなくなり、それに伴い日本のSEIKOやCitizenの時計の人気が下がり、反対に欧州の高級腕時計の人気が高まっていました。日本の時計で海外人気があるのは、CASIOのG-Shockのような個性が明確なものだけになりました。

セイコーも、SEIKOブランドの価値を守るために、低価格帯にはALBA等の別ブランドを導入したり、高級ラグジュアリー商品としてCREDORブランドを使うなどの対策を取られていますが、CREDORなどが売れたとしてもSEIKOブランドの価値向上にはつながりません。やはり社名でもあるSEIKOブランド自体の人気が出ないことには盛り上がりません。

本当は、SEIKOロゴのままで高級商品を出し、その商品が人気が出てSEIKOロゴのまま売れるというのが理想です。
しかし、SEIKOの場合、マスの顧客も相手にしますので、苦労があります。

50万円以上もするグランドセイコーの商品と、1~2万円の商品もある通常のSEIKO商品と明確に区別できることが必要です。製品デザインや質感の差別化もあるでしょうが、ブランドやロゴの差別化も必要になります。そのため、従来は、メインのSEIKOロゴとサブのGS/Grand Seikoロゴのダブル表記でした。
しかし、サブのロゴ表示では差がわかりづらかったのだと思います。SEIKOロゴしかないと、高級時計を身に着けているのに安いSEIKOの時計を使っていると見られるためです。はっきり、高級品と一目でわかるロゴが必要なのでしょう。
よって、「GS/Grand Seiko」をメインに打ち出すのも、わからなくはありません。

グランドセイコーの商品は、GS/Grand Seikoロゴがメインになるとしても、ロゴの構成中にSeikoの言葉が入っていますので、SEIKOブランドの露出にはなります。しかし、最終的に伸ばすべきは、SEIKOブランドの価値です。今回、SEIKOのホームページを見てると、高級販売店網を整備しようとしているようです。SEIKOのお店で、そこにはSEIKOロゴがあるようです。製品のブランドは、GS/Grand Seikoでも、販売のブランドはSEIKOということで、直営のSEIKO PREMIUM BOUTIQUEで、CREDORなどと一緒に販売するようです。

セイコーウォッチの社長の服部真二さんのメッセージが出ていました。
www.seiko-watch.co.jp