Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

ベンチャーと法務・知財人材

ベンチャーが伸びるためには

2017年4月17日(月)の日経に、「法務人材 VB飛躍の支え」という記事がありました。

www.nikkei.com

①アプリを使った送金や、②遠隔診断サービスや、③フリマアプリ(メルカリ)などのベンチャーで、法務人材が非常に重要な役割を果たしているという内容です。

①の送金関係は大手法律事務所のパートナーが、②の遠隔診断サービスは外資系法律事務所の弁護士が当該企業に転職して、③のフリマアプリでは国家公務員出身者が転職しているということです。

 

この背景は、

ロースクール出身者や大手法律事務所の出身者が、新たな活躍の場を求めてベンチャービジネスへの関心を高めていることと、

ベンチャーキャピタルなどから、ベンチャーに、資金が大量に流れており、弁護士を雇用する余裕ができている、と解説していました。

 

コメント

この話は、非常に重要な話だと思いました。ベンチャーが出てこないと経済が活性化しません。しかし、なかなか成功するベンチャーが出ないのが日本が成長できない理由です。

では、なぜ日本でベンチャーが成功しないのか?よく言われるのは、日本人に挑戦する気持ちがないとか、寄らば大樹という人が多いとか。確かに、そういう面もあると思いますが、それだけでもないと思います。

 

アメリカのシンコンバレーの会社やイスラエルの研究開発型の会社など、小さな会社でも法務・知財について、大企業顔負けの能力があったりします。

実際、日本の大企業が日本のベンチャーと組んだというのはあまり聞きませんが、その日本の大企業がシリコンバレーベンチャーと組むのは日常茶飯事です。実は、海外のベンチャーは、技術力なりビジネスのプランに特徴があるというだけではなく、企業の管理系の質という面で、大企業顔負けのレベルなのです。

 

大企業の社員にとって、相手方の管理系のメンバーのレベルが高いということは、例えベンチャーであっても安心して組めるという面があります。この点、日本のベンチャーは、既存の法律事務所や特許事務所のサポートは受けているものの、ベンチャーの法務・知財力が強いという印象は全くありません。

 

弁護士・弁理士などの有資格者は、規制緩和の流れの中で量産されました。その人が今のところ、既存の法律事務所や特許事務所では吸収しきれず大企業の法務・知財部門にどんどん流れています。

今後は、経験を積んだ有資格者が、そのような大企業だけではなく、ベンチャー企業のメンバーとして参画する流れができれば、ベンチャーの活性化にとって非常に良いことと思います。