Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

日本弁理士会の会長のお話し

弁理士に何ができるか?

2017年5月1日(月)の日経に、弁理士会会長の渡辺敬介さんの談話記事がありました。最近、国内(特許)出願件数が減少傾向になり、「知財の活力が低下している」という課題認識のもと、「知的財産を創造し、保護し、活用するサイクルの活性化に向けて弁理士になにができるのか、改めて見直すところから始めたい」との発言が載っていました。

その方策例として、次のようなものがあるとされています。

  • 中小企業向けに、全国でセミナーを開催。「有望な知財を持っていれば融資を受ける際の条件交渉に役立つといったことも知ってもらいたい」
  • 大企業向けには、企業の海外事業の拡大に応じて、「弁理士のスキルを高め、グローバル対応も急ぐ」

www.nikkei.com

 

コメント

まあ、今、云えることは、こういうことだと思います。

街の弁理士は、青息吐息なのですが、弁理士会は裕福です。私が合格した昭和63年ごろは3000人で運営していた弁理士会が、現在は11000人を超え、会費は多少は下がりましたが、予算が潤沢にあると聞きます。

予算がある、弁理士会の出す施策の優劣が、今後の弁理士全体の栄枯盛衰のキーになると思います。

 

1)中小企業向けの施策では、もっと、明細書の作成や出願ではなく、

など、突っ込んだ施策が望まれており、そのレベルを業務としてできるように弁理士が望まれていると思います。従来から、企業の知財部や、税理士が、多少の相談にのってやってきた分野ですが、未開の分野にどれだけ入れるかではないかと思います。

 

2)大企業向けでは、大企業の知財部員はだいたい海外に研修に行っています。弁理士会が、弁理士知財エリートを養成するのもありだと思います。

  • 基本は、特許事務所の費用で送るべきですが、お金は出せないと思いますが、経験のない特許事務所に、弁理士の海外研修のノウハウを伝授するとかできないものでしょうか?
  • 弁理士会のバックアップがあれば、現地で単に明細書を書いて、多少の講義を弁護士にしてもらう程度の研修ではなく、特許庁や裁判所の事務方の業務を見るとか、レベルの高い研修が可能になるように思います。
  • お金は出さなくても、雰囲気作りはできますので、海外研修を終えた人を集めて、発表会をしてもらうと士気があがるのではないでしょうか。

施策自体は色々とあると思います。

 

3)一番の課題は、知財サイクルにおいて一番重要なことは、権利の価値を高く評価することではないでしょうか(あえて適正ではなく「高く」だと思います)。

日本企業も、日本の裁判所も、基本保守的で、高額の損害賠償を望みません。その一方で、画期的な発明がないと嘆きます。

明らかに、二律背反ですので、画期的な発明を求めるなら、高額の対価を支払うべきだと思います。

もう知財の数では遠く中国に及びませんが、このままいけば、知財の質で中国やインドに負けるときも来るのではないかと危惧します。