Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

チョコで脳若返りのその後

国が検証を開始

2017年5月22日の日経に、「チョコで脳若返り」という件について、国も検証作業を開始したというものがありました。

前日の夜の日経電子版に同記事があるようです。

www.nikkei.com

問題になっていた件ですが、国(内閣府と科学技術担当大臣の名前がありました)も検証作業をするということで、それはそれで良いことだと思います。

研究倫理に詳しい市川家国 信州大学の特任教授のコメントが紹介されており、

  • 中途半端な状態で発表される研究成果が増えている
  • 科学の側面より経済的な利益を重視するのが一因だとみている
  • 必要なプロセスを省けばコストを抑えられるが、長期的にみれば科学への信頼がゆらぐ

というようなコメントがありました。

 

nishiny.hatenablog.com

 

コメント

STAP細胞、ノバルティスファーマのデータ改ざん、今回のカカオなど、化学・薬学・食品の関係で、この種の問題が多く発生しているように思います。分野の個性が出ているのでしょうか。

 

さて、大学や公的研究機関が権威の象徴だった時代から、大学も知財部を持ち産学連携をして、特許ライセンスをして、自らの研究費を自ら稼ぐという時代になっています。その意味では、大学や公的研究機関の中に、ビジネス感覚が徐々に浸透しつつある時期なのだと思います。ビジネス感覚は、負の側面もあると思いますが、この流れは止まらないように思います。

 

結局、研究の倫理は、教育なのだと思います。

上の子供の高校時代の話ですが、情報通信の授業というものがあり、ネットやデジタルの仕組みや簡単なソフト作成演習のような技術的なところだけではなく、ネットやデジタルの使い方、接し方、怖さ、対策、心がけなどを、丁寧に教えてくれていた先生がおられ、大学でも実社会でも役に立つ、良い授業だったと言っています。

 

医学では、医療倫理の従業があると聞いています。弁理士にも、倫理研修があります。大学の科学技術系の各学部でも、通常の研究職の教授の日常の指導に任せるだけではなく、その技術分野の倫理を説く専門家が必要なのだと思います。

 

ちなみに、弁理士会の倫理研修は、コンフリクトやお金にまつわる失敗談と対策などが中心です。本来は、特許なり、商標なりの実際の仕事をする上での、高いレベルの心構えのような職業倫理が聞きたいものですが、そこまでは至っていないように思います。

弁理士の高いレベルの職業倫理という意味では、経験豊富な弁理士さんから、ざっくばらんに失敗成功体験を語っていただいた弁理士会の初任者研修が一番、本来の倫理研修に近かったように思います。大阪で受けたので、参加者も20人程度と少なく、先生方も本音トーク連発で、面白い授業ばかりでした。断片的ですが、いまだに覚えています。