Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

無資格弁護士

弁護士法違反などで逮捕

2017年6月14日の朝日新聞の夕刊に、無資格で弁護士業務を行ったとして、81歳の容疑者を逮捕したという記事がありました。

www.asahi.com

内容としては、次のようなものです。

  • 無資格で遺産分割などの法律業務を行ったとして、警視庁が81歳の容疑者を逮捕
  • 弁護士法(非弁行為)や司法書士法の違反
  • 容疑を認めており「40年以上無資格で請け負い、家族を養ってきた」
  • 遺産分割のほか、アパートの家主から家賃滞納者の立ち退き交渉もしており、これも弁護士法違反の疑い
  • 約40年間で、約1億2千万円の不法に得た

 コメント

1億2千万円といっても、1年で300万円ですので、大した金額ではありません。家族を養ってきたというのもいい話です。

非弁護士行為=非弁行為に対比されるものに、無資格医の問題があり、通常は無資格医の方が社会的に厳しく見られます。無資格医に必要もないのに子宮を摘出されてしまったというような話です。ブラックジャックの例はあまり聞いたことがありません(昔はあったと思います)。

一方、法律の世界では、案外線引きが難しい面があります。企業には、法務や知財の部員が沢山います。日本の知財協会加盟各社の知財部員の合計が、10万人という数字を聞いたことがあります。

法律事務所の事務担当や、特許事務所の明細書作成者の場合、事務所の所長の弁護士なり、弁理士が仕事を見ており、最終文書などは弁護士・弁理士が出しますので、許されるとされています。

一方、海外では、事務所のパートナー弁護士の下に、多くの若手弁護士がおり、切磋琢磨しています。仕事ぶりが良くなければ、別の事務所に移るしかなく、結局、優秀な弁護士なり弁理士だけが残るシステムを組んでいます。日本では労働法があり、この新陳代謝のシステムが機能していません。

小泉政権のときに、弁護士を取りやすくして、広く司法を市民に提供しようとしましたが、経済が伸びているときの施策としてよかったのでしょうが、経済がシュリンクしているときに重なると試験は通ったけれども仕事に就けない弁護士が出てきました。

 

その中で、この容疑者は、自力で仕事をしていたわけですので、非常に偉い人ではあります。弁護士会からの情報や研修もなく、やってきたのは、センスと研鑽がないとできないと思います。

 

本来的には、弁護士や弁理士を数で制限するのではなく、弁護士等の能力で見るべきと思います。

例えば、その人が、英検に合格しているとしても、英検2級なのか、英検1級で通訳もできるかの違いです。

ただし、現状、顧客にその情報が積極的に開示されているとはいいがたい状態と思います。

弁理士会も各弁理士の情報提供していますが、積極的に入力しなくても問題なく、活用されていないようです。そうすると、顧客からすると、各事務所のホームページでの情報提供が一番の手がかりであり、充実されていくべきものだと思います。