人に投資する
2017年6月18日の日経に面白いまとめ記事が出ていました。昨今の働き方改革で、浮いた残業代を、各社どのようにしているかという記事です。
日本全体では、2016年度、残業時間の減少幅は0.7%減だそうです。一方、残業代=所定外給与の減少幅は0.6%減で、連動しているようです。その削減金額は、約840億円だったようです。
本来支払うはずだった残業代の使い方は、従業員の士気を保つために重要な課題となっているという認識は広がっています。
働き方改革の最大の課題は、生産性の向上であり、人への投資を通じて生産性を向上させるのが流れとのことです。
人に投資するといっても、色々な方法があるようです。
- かんぽ生命:パソコンの使い方、英語、組織運営のネット講座を無料提供。任期はCSRと法令順守。
- 大和証券グループ:ネット講座やビジネススキル研修に投資。ファイナンシャルプランナー、証券アナリストの資格取得を後押し。企業競争力を高める。
- ユニリーバ:スマホの貸与。IT活用で働きやすい環境整備。
- サントリーHD:従業員の健康づくり。健康関係のポイント制度を設ける。
- 松屋フーズ:残業代削減分をボーナスに上乗せ。
- ヤフー:給与で、平均残業時間の25時間の残業見合いを支払い。
- ワタミ:残業削減を原資にベースアップを実施。
残業削減をコスト削減ととらえていては、持続的な成長は見込めないと締めくくっています。
コメント
2017年度は更に残業削減が進みそうです。
この記事に紹介されているものは、もともと各社が進めていた人事・福利厚生施策も入っているように思いますが、それにしても、原資は必要ですので、その原資が残業代の削減額から出ているのはそうだと思います。
労働時間の削減をするには、生産性の向上しかありません。生産性の向上は、一般には、①社員の能力アップ、②IT化、が2大手段といわれています。
以前の会社では、管理職は残業代がなく、また、企画業務では、若手も裁量労働で残業時間が給与に含まれている人が多かったので、少なくとも私の周りでは、残業時間を気にすることはあまりなくなっていました。
ネットの研修も沢山ありましたが、あまり受けませんでした。受けておけば良かったと思います。義務付けられたリアルな人事研修は、行くのは億劫なのですが、行けば得るものは多かったと思います。また、外部機関の英語の研修だけは受けていました。
軽量ノートPCの貸与、Office365やSkypeの導入、HDコニュニケーションシステムの導入など、IT化もだいぶ進んでいました。
いるときは、水か空気のようなもので、なんとも思わなかったのですが、上記の各社の取り組みは、ほとんど、導入済みだと思います。
そういう意味では、残業時間削減は関係なくても、生産性の向上を通じて、企業競争力を高めることは当たりまえなのだと思います。
残業代の削減で利益を確保するのでは縮小均衡に陥ります。そうではなく、生産性向上、ひいては競争力強化を通じて、利益を上げるというロジックが重要だと思いました。
個人的には、各社の取り組みで参考になったのは大和証券グループです。証券各社は、新入社員にも資格取得を義務づけているようです。若い、吸収力のある時期に、しっかり勉強しておいてもらうのは、企業が生き残るためにも大切なことだと思います。また、若い人を採用できた企業には、若い人を育てる社会的な責任もあると思います。
OJTや場数を踏まないと得られないこともあると思いますし、上司の熱意も必要と思いますが、スキルは高いに越したことありません。
客観的にスキルを示す方法として、各種の資格は、ますます必要になるのではないでしょうか。