Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

富士フィルムと富士ゼロックス

管理部門統合

2017年6月25日の日経に、富士フィルムが子会社の富士ゼロックスの管理部門を統合するという記事がありました。

具体的には、経理、人事、広報などが候補だとあります。部門の重複を減らして効率を高め、ガバナンスを強化するとありました。

f:id:yoshikeke:20170627045139p:plain (富士ゼロックスのロゴ)

 f:id:yoshikeke:20170627043807j:plain(米ゼロックスのロゴ)

 

富士ゼロックスは、もともとは、米ゼロックス富士フィルムによる50:50の折半出資の会社だったようですが、2001年に米ゼロックスが経営不振になったとき、富士フィルムが25%分を買い取り、今は、富士フィルム75%、米ゼロックス25%という株式構成のようです。

最近、富士ゼロックスの豪州とニュージーランド子会社で会計不祥事(6年間で375億円)があったということです。

 

コメント

不祥事があったのですから、対策として、経理を含めた管理部門の統合も致し方ないところと思います。

富士ゼロックスは、世界のゼロックスグループの中では、機器の開発製造と、アジア・大洋州の営業を担当しているようですので、今回の不祥事は、その大洋州企業統治の問題のようです。

 

さて、富士ゼロックスのホームページによると、XEROXのロゴが、現在のものになったのは、2008年4月からとあります。以前の”THE DOCUMENT COMPANY"と言っていたころのゼロックスのロゴには、”FUJI"は、付いていませんでしたが、この2008年の新ロゴからは”FUJI”のついた”FUJI XEROX”となっています。

2001年の資本関係の変更を、ロゴにおいて表現したものです。インドの”TATA DOCOMO"や”MULTI SUZUKI”のようなものです。ブランドの個性の尊重というようなブランド論からすると、資本関係は社名で表して、ブランドロゴはオリジナルのロゴを使う方が良いのですが、経営的な諸事情がロゴにも反映してしまっています。

 

特許庁のJ-PlatPatで見ると、米ゼロックスが、”FUJI”のない部分の”XEROX+図形”の商標権をもっており、”FUJI”は事実上付加して使用しているだけのようです。商標法の不使用取消審判時の同一性や、不正使用取消審判で取消対象にならないかなどは、十分検討されて使われているのだと思いますが、実際使っているロゴについて、ズバリの権利がないのは、商標管理の立場からは怖い気がします。

 

当然、”FUJI"の部分は、富士フィルムが持っているのだと思って調べてみると、電気通信機械器具や電子応用機械器具は、富士電機のものでした。「FUJI」はいろんな会社が使っている言葉ではありますが、コーポレートブランドをライセンスで対応しているとすれば、素直に驚きです。なんとしても、富士ゼロックスのコントロールをしたかったのだと思われます。

 

ゼロックス本社も、資本関係は別として、よくこの結合ロゴを認めたなとは思います。断固拒否してもおかしくないのですが、過去からの信頼関係なのでしょうか。

 

両社は東京ミッドタウンの同じビルに入っています。当然、同じエレベータホールを使います。一つのエレベータホールしかないのに、利用するときは会社によって、左右に分かれていたという話です。このあたりは、まず手をつけるべきところと思います。

 

www.fujixerox.co.jp

 

f:id:yoshikeke:20170627045339j:plain(富士フィルムのロゴ)