米国食品の締め出し?
2017年7月23日の日経に、GIの記事がありました。日本と欧州連合のEPA大枠合意に伴い、欧州210品目、日本39品目を保護することで大筋決着しています。
問題の、米国食品の締め出しとは、GIを保護することで、米国が欧州に似た食品を日本に輸出できなくなる可能性ということです。その時は、少なくとも、パッケージ変更などの対応が必要になるようです。
2011年のEUと韓国のFTA(自由貿易協定)の時には、米国の業者がギリシャに由来する「フェタチーズ」を韓国に輸出する際、パッケージの書き換えが必要になったようです。
記事には、米国がGIを容認していない理由として、①米国の農業は大量生産による効率性の高さが売りで、産地による違いがない特徴からGIを容認していない。(この理由は、そもそも米国にGI制度がない理由でしょうか?)、②欧州に移民が多い米国には、欧州の産地を商品名にした農産品や食品が少なくない(これは、バドワイザーvs.ブドヴァルや、パルメザンチーズの件ですね。)、とあります。
同じ紙面に、関連記事があり、カマンベールや、パルメザンという言葉がつかえないようにならないように、チーズ公正取引協議会が農水省に意見書を提出す方針とありました。
コメント
確かに、いまさら、カマンベールチーズや、パルメザンチーズという言葉がつかえないと市場は混乱します。
落としどころとしては、カマンベールについては正式名称の「カマンベール・ド・ノルマンディス」は使わない、パルメザンについては「パルミジャーノ・レッジャーノ」は使わないというところでしょうか。これなら、問題なさそうです。
パルメザンは、パルミジャーノの英語読みのようですので、日本にも、米国を経由して、米国の反GIの考え方が相当入っていることになります。
子供のころは、シャンパンと言っていたを、大人になるころには、スパークリングワインと言い換えないといけないという件がありました。これもGIの一種ですよね。何か言葉狩りのような気もします。
商標に慣れているので、普通名称化してしまったら、たとえ商標権が残っていても空権になるので、普通名称化を防止しましょうと商標法や商標管理の本にありました。シャンパンなどを例にとると、GIの場合は、完全に普通名称化していたものでも、外交の力・政治の力で強制的に変更したことになり、強い主張だと思いました。
日本でも、神戸ビーフや夕張メロンは、その産地の名称であり、第三者が勝手に使ってはだめというのは認知されてきたように思います。しかし、海外のものまで気をつけないとすると、対象案件の公示やGI教育が必要になりそうです。
GIサーポートデスクというWebサイトで、GIアドバイザーという仕事があることを知りましたが、この中に弁理士さんは、沖縄の方がお一人いるだけでした。商標調査や商標出願とは直接は関係ないですが、GIは、もっと弁理士が協力しても良い内容であるように思います。